新国のくるみ割り人形を観てきました。
多分、今年で最後のバレエ鑑賞になりそうです。
キャスト(※Twitterからいただきました。)
正直、このイーグリング版はまったくもって好みではありません。
去年はさすがにもういいや、と思って観なかったのですが、この先コロナの状況も分からないから公演が見られるうちにせめてもう1回は、と思って、普段あまり観ないペアの回を観てみることにしました。
実は、池田理沙子さんがなんとなく苦手で…かなり前に見た時の、張り付いた感じの表情がどうしても受け付けず、その後敬遠しており、必然的にペアが多い奥村さんをあまり主演で観れないでいたので、これを機に、と思っていたのでした。
ということで、2年ぶりの新国くるみ鑑賞です。
客席はだいぶ空席が目立ちました。
この感染状況ですし、自粛される方も多かったでしょうか。
それか、この日ラストで同時間にある東バくるみに客が流れたかもしれないですね。
冒頭、序曲半ばで幕が開き、クララの部屋のシーンから始まります。
この場面の記憶が一つもなくて、2年も経つとかなり細かい部分は忘れてしまうものだな、と実感…。
現実の世界のことが最終的にクララの夢の中でどういった形で表現されるかを覚えていくのが、伏線回収のような感じでちょっとした楽しみですが、この場面で既にねずみが登場していたことも忘れていました。
イーグリング版、ルイーズという名の姉がいる設定になっており、このシーンから登場。
また、ここで本島シュタルバウム夫人も登場します。いつも思うけど、本当に美人…本島さんがアラビアの日を見ればよかったかもと、ちょっと後悔。
クララの部屋から屋敷の外のシーンに変わり、人々が凍った道?川?を滑るような様子が描かれ、屋敷の中のクリスマスパーティーのシーンに移ります。
このパーティーのシーンからドロッセルマイヤーの甥として主役の奥村さんも登場しますが、もう奥村さん、めっちゃくちゃ素敵でした。
優し気にニッコリしたところでキュンとしてしまいました。
この前のドン・キの時のガマーシュとはもう全く別人…本当に役の幅が広いダンサーですね。
この辺りでうんざりしてくるのが、序幕からずっと下りっぱなしの紗幕。
イーグリング版の好みではない所の一つが、この現実世界の場面(クララが子どもの場面)ではずっと紗幕が下がりっぱなし、という部分なんですよね…。
1度気になっちゃうとずっと気になってしまって…ずっと邪魔だなぁーっと思っていました。
子どもたちの踊りが入りますが正直あまり見どころがありません。
後ろで中家ドロッセルマイヤーが曲に合わせて杖?を指揮棒を振るようにしている様子がなんだか可愛かったくらいです。
彼のドロッセルマイヤー、見た目は白塗りでちょっと怖いくらいなのに、この後もなんとも優しいお兄ちゃんぽさのようなものがにじみ出ているような感じでした。
普通のくるみだと人形の出し物を子どもたちが見る、というシーンは、ルイーズと男性達が仮面をかぶって出し物の踊りをするシーンになっています。
この時にルイーズ達が被っている仮面、何度見ても結構怖いです…
クララとフリッツがくるみ割り人形を取り合うお馴染みの場面が入り、パーティーが終わり、クララが眠りにつくと、ねずみがクララの部屋に侵入、夢の世界のへ移り変わり、クララは子どもから大人の池田さんにバトンタッチします。
ここでやっと邪魔な紗幕ともしばらくおさらばです…。
登場からねずみに襲われるシーン、池田さんの表情がかなり良かった。
本当に、なんで私はあんなに苦手に思っていたのか不思議になるくらい、彼女の表情は全体通してとっても良かったです…。
ねずみの王様とくるみ割り人形の戦いのシーンでは、ねずみ側も含め、戦いよりも踊ることがかなり前面に出るのがこの版の特徴だと思います。
この踊りのおかげでねずみの王様の1つ1つのポーズがちょっとコミカルで、見た目は怖いねずみもちょっとかわいい感じにも思えるような気がしてきます。
戦いはねずみ側が勝利し、くるみ割り人形は負傷、ドロッセルマイヤーのおかげ?でくるみ割り人形は甥の姿になり、クララとパ・ド・ドゥを踊ります。
ここのパ・ド・ドゥ、すごく難易度が高いと思うのですが、主役の2人、難なく踊っていました。
その後の雪のシーンは、印象深くてよく覚えている部分でもありますが、今回も美しく一糸乱れぬ群舞はさすがでした。
ラストの、一列になって雪の結晶達が袖にはけていく部分が特に素敵で気に入っています。
また、ソリストの柴山さんの踊りが、キリっとしているのですが、首肩周りのニュアンスが柔らかくついているのが好みでした。
ただ、この場面、特に出だしにダンサーのポアントの音が結構コツコツいっているのが気になってしまいました。
衣装も、動くたびにバサバサというかカサカサというか、かなり音がしてしまっていて、見た目は本当に素敵なの衣装なんですが…
続く2幕、お菓子の国にたどり着くクララとドロッセルマイヤーとくるみ割り人形(とねずみの王様)。
ドロッセルマイヤーとくるみ割り人形とクララのパ・ド・トロワが入ります。
踊りとしては正直あまり好きではないのですが、やはりここもかなり難易度が高い振り付けに見えます。
演技も踊りもサポートもあり、更に出ずっぱりという、つくづく、ドロッセルマイヤーと王子はかなりハードというか難しい役どころですね。。。
その後は襲ってきたねずみの王様とくるみ割り人形が戦い、くるみ割り人形が勝った、というのも分かるのですが、ディベルティスマンがかなり唐突に始まる感じがして、個人的にはかなり違和感があります…。
あまり整理が追い付かないままスペインの踊りが始まりましたが、このスペインの踊り、衣装もそうですがかなり良かったです。
男性の清水さんの踊りが大きな動きで溌剌とした感じでかなり良かったと思いました。
続くアラビアの踊りですは、この組体操みたいな踊りがどうも苦手です。
男性ダンサーの衣装についている装飾が動くたびにシャラシャラ鳴るのは雰囲気があって素敵だな、と思ったのですが、やっぱり踊りは好きになれませんでした…。
アラビアの女性の踊りは今回多分初めてまともに個人の踊りを見るかもしれない関晶帆さん。
今日が彼女のこの役初日だから?なのかちょっと固い感じがしました。
背中の柔らかさがもう少し欲しいような気がしましたし、途中ちょっと踏みはずした?所があったような気がしますが、目つきや表情などの雰囲気はとても素敵でした。
中国の踊りは五月女さんの安定した回転が素晴らしかったです。
ロシアの踊りは、あまり踊らない王と王妃?がいったい何で出てくるかがいまいちよくわかりません…。
蝶々の踊りは姉のルイーズ役の奥田さんが踊りますが、優雅で軽やかで、素敵な踊りでした。
花のワルツのシーンはイーグリング版で数少ない好みの衣装と踊りのシーンです。
花びらそのままのようなオレンジのグラデーションの衣装も明るくて素敵ですし、踊りもリフトが多くて見ごたえがあります。
この日は、冒頭のバランスで態勢が崩れた人がいたり、サポート付きでグランジュテするシーンで一人持ち上げ失敗する部分があったり、ちょっとひやっともしましたが、やはりキレイでしたね。
ディベルティスマンの合間合間にはドロッセルマイヤーが出てきますが、イマイチ彼の立ち位置がはっきりせず、よくわからない感じに思えました。
さて、メインのクララと王子のパ・ド・ドゥ、これは本当にとてもよかったです。
池田さん、いいダンサーになったんだな…としみじみ思いました。
以前からテクニック的に申し分なかったですが、表情や堂々とした雰囲気というか魅せ方が非常に良くなったと思います。
池田さん、奥村さんとも楽しそうに生き生きと踊っていて、なんだか見ていて泣けてきそうになりました。
奥村さんの踊りも美しく、特に軽く、柔らかい跳躍が素晴らしかったです。
彼のサポートのおかげか、池田さんがより体重が無いように一層軽く見えました。
ソロも含め、どの踊りも音とマッチして、2人の息の合った感じの良い踊りで、とても素敵でした。
パ・ド・ドゥの後のフィナーレの踊り、花のワルツのダンサーが舞台に出てきてすぐに曲が始まるのですが、ダンサーがバタバタバタッっと足音を立てたまま入ってきた状態で始まるのがまたこれもイマイチだなぁ…と思いました。
フィナーレの踊りは1拍ずらして同じフリをしていく部分(カノンと言えばいいのか…?)がとても美しかったです。
しかし、最後の最後にはまた紗幕が下りてきてしまうのが残念。
ラストは気球が上がる夜空の外のシーンですが、これ、ちょっと地味なんじゃないかなぁ…と思ってしまいます。
2年ぶりの鑑賞でしたが…改めて、やっぱりこの版は好きではないことを再確認した感じです。。。
ねずみや仮面も怖いし、お菓子の国の場面が全体的に暗い感じがするのもつくづく好みではないです…
でも、今回は池田・奥村の踊りが見れただけで大満足でした。
これからの公演はこのペアもぜひ見に行きたいです。
今回、劇場に荷物を入れるための袋が置かれるようになっていました。
多分、コロナ対策でクローク閉鎖しているからですね。
あと、開始前のアナウンスで「ブラボーなどの声援は固くお断りします」、とだいぶ強い言葉が。
世知辛い世の中ですね…。
来年、また無事に劇場に戻ってこれますように。