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ju-hachi

2021/2/27・28 ジゼル[東京バレエ団] 感想

東京バレエ団のジゼル、2公演を観てきました。

ラヴロフスキー振付版、ウラジーミル・ワシリーエフが通常ペザントの踊りを、パ・ド・ユイットに振付改訂したものとのこと。

どのキャストの回に行こうか迷った挙句、ええい、どちらも観てしまえ、と2公演みましたが、どちらもそれぞれの良さがあって大変良かったです。

 

■東バジゼルメモ

・パ・ド・ユイット、見ごたえはあったけれど、並ぶダンサー間で実力差が見えてしまう。男女ともダンサー間で差がないと嬉しい。特に身長差…。

・1幕ジゼルソロ、アルブレヒトはいなくて、彼を探しながら踊るような感じ。

・2幕最初はヒラリオンが墓地に。火の玉が飛ぶ。

・ラスト、マントを引きずりながら墓の方を見て歩き去るアルブレヒトで幕。

 

 

 

キャスト表 2/27 14:00

cast

 

27日昼公演、ジゼルは1月の公演でタリスマンの踊りがとてもよかった秋山瑛さん、アルブレヒト秋元康臣さんです。

この2人は、それぞれの踊りがとてもよかった。

ジゼルの秋山さん、可憐でいじらしくて儚い感じがジゼルにぴったり。1幕のソロ、アチチュードターンが美しくも余裕。2幕のウィリになったジゼルの踊りも、ジャンプが高くて、本当にこの世のものではないような感じに見えました。

ただ、たまに足先が伸びきっていないように見えるというか、つま先の伸びが物足りなく見えるような瞬間があって、それがなんだか少し気になりました。私の気のせいだと思うのですが…あと、狂乱のシーンも、沖さんを見た後振り返ると、ちょっと物足りなかったという印象です。

秋元さんのアルブレヒトは、1幕から拭えない貴族感に唸りました。歩いているだけなのに、足の運びがあまりに美しくて、絶対"村人"じゃない!と思いました。2幕のソロはパがクリア、上体が美しく、ラストはアントルシャ・シスまで。素晴らしかったです。

貴族であることを捨てられない男、というような感じに思えました。ジゼルが亡くなるシーンも、「俺はなんてことをー!」って思っているような、あくまで自分本位のようなイメージでした。

 

パ・ド・ユイットは、2日見た内ではこの日の方が良かったと思いました。特に男性。

見ごたえはありましたが、それ以上の感想はあまりありません。最初にも書いたことですが、ダンサー間の差がなんだか見えてしまってそれが気になってしまいました。

ピンクのお衣裳の女性の方の踊りがステキだったと思うのですが、お顔で判別がつきませんでした…。

 

2幕のウィリ達のコール・ドは圧巻でした。東バのウィリ達、あまり、怖い!という感じではありません。浮遊感があるような、この世のものでない感じ、という方が強いかもしれません。上半身の動きが皆さんとてもきれいなので、柔らかく優しい感じさえも受けました。

この日のミルタは政本さんで、翌日の伝田さんと比べれば重々しく、やや怖さを受けるような感じの役作りに感じました。ポアントでのパ・ド・ブレ、とっても滑らかでした。

ドゥ・ウィリはこの日のお二人が好みでした。中川さんと金子さん、ポーズが美しかったです。

 

続いて28日。

 

キャスト表 2/28 14:00

cast

 

ジゼルは沖香菜子さん、アルブレヒトは柄本弾さんです。

演技がとても良くて、感動しました。

沖さんのジゼルは、何といっても狂乱のシーンが素晴らしかった。見た目がお人形のような、小顔で華奢な方ですが、あのシーンでは本当に壊れてしまった人形のようでした…目がどこを見ているか全くわからない、完全に狂ってしまった、と感じられました。すごかった。

踊りも、個人的には秋山さんの踊りの方が好みですが、これまで沖さんの踊りは、ちょっとなんだか物足りない、と感じることが多かったのですが、そのイメージを払拭する、すばらしい踊りでした。キープ力や、アラベスク・パンシェの美しさが光りました。

柄本さんのアルブレヒトは愛に熱い男!でした。愛があふれてるというか、愛情が濃い。この日、1幕、秋元さんがバレエシューズを履いていた所、柄本さんはブーツで登場していました。

彼のアルブレヒトは、1幕ラストでジゼルの亡骸を抱きしめながら幕、となっていたのが象徴的です。アルブレヒトなりにジゼルを深く愛していたんだな、ということを感じました。

踊りとしては、2幕ソロは正直秋元さんを見た後だと物足りなかったですし、パ・ド・ドゥ後はアントルシャ・シスではなく、ブリゼ連続になっていましたが、サポートが上手で、2幕は沖さんが全く体重を感じさせないように見えました。

ラスト、ジゼルがアルブレヒトに抱えられながら、少し微笑んでいたような気がするのですが、柄本さんのアルブレヒトに深い愛情を傾けられたからこそ、ジゼルも、もしかしたら少しは幸せだったのかしら、と、思えるような気がしました。

 

この日のミルタは伝田さんでしたが、伝田さんのミルタは重々しさや怖さは無く、哀しみを強く感じるような踊りでした。それが、東バの幻想的にさえ感じられるようなコールドとマッチしている感じがして、とてもステキでした。非常に好みでした。

 

 

同じバレエ団の公演でも、こうも違う感動を得られるとは、本当に良かったです。

 こんな状況下にかかわらず、毎週バレエが鑑賞できて、とっても幸せです。