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ju-hachi

2021/5/23 ドン・キホーテ[Kバレエカンパニー] 感想

ヒューストン・バレエ団を退団された飯島望未さんがKバレエ移籍後の初の公演ということで、前回の白鳥の湖の際、幕間に猛ダッシュの末、チケットを入手した公演でした。

 

ドン・キ、このバレエ団にぴったりの作品だなぁと思いました。まさに看板と言える作品。

前回のKバレエ鑑賞の際に気になった、息付くヒマがなさすぎる問題も、もとからドン・キを見るとなればほとんど気になりませんし、熊川氏の再振付ももちろん入っていますが、それも個人的にはあまり違和感なくみられました。

ドン・キの2幕って全体的に照明も薄暗いし寝落ちやすい場面だと思うのですが、そこにキトリとバジルの見せ場たっぷりのパ・ド・ドゥを入れてきたり、全く飽きさせない展開のつくりだったのが感動しました。

本当に、熊川氏は初心者がバレエでダレるポイントをよく心得ていらっしゃるのだろうなぁ…と。

 

キャスト

casts

 

 

<<メモ>>

・冒頭の前奏、テンポ遅くて重たかった。ちょっと好きじゃない。

・2階部分まで使用される舞台セットが非常に豪華。

闘牛士の持つ布が黄色とピンクで鮮やか。

・1幕、メルセデスの踊り、剣は実際に突き立てるタイプ。やっぱり倒れる。メルセデスの衣装がちょっと安っぽく見える。

ドン・キホーテ、よぼよぼおじいさん感。持つ剣が無茶苦茶に長い。ギャグ。

・2幕、風の音、虫の鳴き声の音などが入る。風車がばかでかい。

・2幕はキトリとバジルのパ・ド・ドゥから

・2幕の夢の場、星空。メインの森の女王やキューピッドの衣装も白、金、銀のでとても美しい。

・酒場、キトリがバジルに飛び込んでいくシーンでダンサーから声。好みではない。

・酒場のシーン、エスパーダとバジルがテクニックを競うようなシーン。面白い。ガマーシュとドン・キホーテの茶番のような決闘も。

・通常、1幕に入るサンチョ・パンサのトランポリンシーン?が3幕にあり。どうしてここにいれたんだろう。これはあまり好みでない。

・3幕、しばらくずっと後ろにいる酔っ払って寝ているような人物が気になってちらちら見てしまう…

 

個々のダンサーについては、もうなんといってもエスパーダが!杉野慧さんがめちゃくちゃかっこよかったです!

眼光の鋭さ、長身で、踊りにすごく迫力がありました。

これぐらいの圧があってくれると本当に映える役どころだなぁと、彼の登場の度に見惚れてしまいました。

闘牛士たちも迫力のある見た目の方が揃っていましたが、それを率いるにふさわしいような風格があって、非常に良かったです。

 

飯島望未さんはとっても演技が良かったです。

飯島さんの大きな瞳がくるくると動いて、お茶目でキャピキャピしたとっても可愛らしいキトリだなぁ、と思いました。

踊りも上半身と腕遣いがとても美しかったです。

キトリには少し力強さがもの足りなかったと個人的には思って、他の役での踊りをもっと見てみたいと思いました。(ので、次のシンデレラを早速チケット押えました。)

あと、もう少し音楽と一体感が欲しかった。多分、移籍したてでいらっしゃるし、今後オケともどんどんあっていくのだろうとは思いつつ。

とはいえ、ラストのグランフェッテはダブルも余裕で入れていて十分な見ごたえ。とても素晴らしかったです。

 

バジル役の山本雅也さんを見るのは、昨年の海賊のアリ以来かもしれません。

その海賊の時よりもやや不調な気がしましたが、今回も胸のすくような跳躍と回転を見せていただきました。

今回は1幕の見せ場のリフトが素晴らしかった。2回目なんて5秒以上はキープしていたのでは。鳥肌モノでした。

あと、あまりにも軽々と540を飛ぶのでどうかしていると思いました(褒めてます)。

 

花売り娘、3幕のヴァリエーションを踊った成田さんと毛利さんは、こういう役どころでもう何度もお見掛けしていますが、安定感があってとても良いです。

特に花売り娘の踊りが溌剌としていてよかった。

 

メルセデスと森の女王を踊った戸田梨紗子さんは、メルセデスよりは森の女王の踊りの方が良かったです。いとも軽々とイタリアン・フェッテを繰り出していました。

あと、この2役、とても同一人物が踊っているとは思えない程雰囲気が違って、改めてKバレエのダンサーは演技達者だなぁと思いました。

 

後は、キューピッドの萱野さんのグラン・パ・ド・シャの足の開きっぷりと軽やかさに惚れ惚れとしてしまいました。

 

この回、1幕で布を持って走り回る少年が布を落っことしてしまったのがトラブルと言えばトラブルでしょうか。一瞬拾いに戻りかけて、振りきって走りぬいた少年に心の中で拍手しました。

 

今回、ついにオーチャードホール市松模様の席配置ではありませんでした。