スターダンサーズ・バレエ団のピーター・ライト版のコッペリアを観てきました。
そもそも昨年、上演予定だったものがコロナの影響で延期になり、更に2021/3/21に起こったスエズ運河座礁事故で、イギリスからの衣装や舞台装置が予定通りに届かずに、更に延期となってしまったこの公演…
この座礁事故で自分の身近に影響が起きるとは露程も思っていなかったのですが、まさかこんな影響があるとは…
1か月遅れとなったものの、無事に公演が鑑賞でき、一観客としても感激でした。
キャスト
(キャスト表にパリ・オペラ座の契約団員から今年スタダンに入団された東真帆さんのお名前が。)
開演前に、総監督の小山久美氏によるプレ・トークでの作品解説がありました。
ちょっとしたメモだけ。
・音楽レオ・ドリーブ作曲。『ジゼル』で有名なアダンの弟子。チャイコフスキーはこのコッペリアの曲を参考にバレエ曲を作曲。
・麦の穂の音がすると愛が本当だという言い伝えがあり、そのような場面があるとの解説。
・結婚した人には金貨をあげる習わしがあるという場面の解説。
・マズルカ:3拍子でポーランド風の踊り。チャルダッシュ:ハンガリー風の踊り。
・作中のマイムを実演交えて解説。
公演の中身ですが、やはり遠路はるばる、トラブルを経てやって来た舞台セットと衣装を見た時は感慨深かったです。紗幕のCoppéliaの文字や質感には感動しました。
きっとバレエ団の方々の感動はひとしおだったことでしょう。
1幕と2幕のセットの美しさ、重厚感、細かいところまで作りこまれているリアルさが特に素晴らしかったと思いました。
2幕の人形達なんて微塵も動きそうに見えなかったのに、動き出した時は感動しましたし、コッペリウス博士の部屋にフランツがきちんと窓から梯子をかけてやってくるのにも、窓の向こう側の景色も見えるのにも感動。
衣装も、本当にどれも素敵でしたが、1幕のマズルカ・チャルダッシュの踊りの時の、群舞の方々の赤と緑の衣装がとても好きでした。踊ると白い袖が覗いて、すごく美しかったです。
スターダンサーズ・バレエ団さんの踊りを見るのは本当に何年ぶりのことか…
とても群舞が良かったです。とても一体感があるような気がしました。
3幕は特に、どの踊りも素晴らしかったと思いました。
主役、スワニルダの塩谷綾菜さんの踊りは初めていました。
パリっとした踊りをされる方なんでしょうか。足捌きにキレがあってこの役にピッタリだなぁと思いました。
特に、2幕の人形の踊りの動きが素晴らしかったです。本当にお人形見たいでした。
ただ、それ以外の踊りでも、全てピタっと動きが止まってしまう感じに見えるところはあまり好みではなかったです。
あと、個人的には踊りに表情があまりなかったような気がして、少しもの足りなかったかな、と。
フランツの林田さんは、エネルギッシュな踊りでした。
ちょっと踊りが重たい感じがしましたが、演技がとても良かった。
舞台から遠くても非常にわかりやすくて気持ちがよく伝わりました。
プティ版コッペリアでは救済もなく孤独に終わるコッペリウス博士、ライト版では、人間になったコッペリアが現われて仲良く去っていくという、博士の夢が叶って幸せで温かいストーリーになっています。
演出1つで雰囲気がまるで違いますね。
直近で公演を(オンラインですが)上演してくれた新国立のプティ版とで見比べられて面白かったです。
会場のテアトロ・ジーリオ・ショウワは初めて来ましたが、音大のホールだからでしょうか、音の響きがとても良かったように思いました。(オケはもう少し頑張っていただきたかった…)
ただ、舞台上の足音が目立ちますね…特に群舞ではうるさいと感じてしまうくらいでした。