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ju-hachi

2021/8/1 横浜バレエフェスティバル2021 感想

横浜バレエフェスティバルを鑑賞してきました。

2020年開催分が丸っと翌年に延期になり、実に1年越しの開催、2020年に購入していた分のチケットが利用できるということで、大事にとっておいた昨年のチケットを握り締めて、少しドキドキしながら会場に行きました。(もちろんあっさり入れていただけました。)

今回も、前日の「前夜祭」も鑑賞してから今回の本番を鑑賞しました。

 

キャスト表

キャスト

 

第1部、フレッシャーズガラについて。

ヴァリエーションを踊った方それぞれについては、正直、動きが小さいなぁ、とか、回転で頭がついてっちゃうような気がするなぁ、とか、ちょっと粗さがしをしながら観てしまった所があって私が良くなかったです…特に、お化粧がめちゃくちゃ濃い子がいて、あまりに派手派手で浮いていたのがとても気になりました。最近、どんどんお化粧は薄手になっているような気がしていて(勘違いでしょうか?)久しぶりに濃い目のお化粧を見たから余計に…かもしれませんが。

Va.を踊られた中では、グラン・パ・クラシック踊られた田中さんが、小柄ですけどお上手で良かったと思いました。

ジュンヌバレエYOKOHAMAの「悪魔のトリル」は、20分近くでしょうか?ずっと踊り続ける大作で、見ごたえがあり、特にソロパートを踊られた、きっとそろそろこの団体から抜けられるダンサーなのかな、と思うくらいの、中では年上のダンサーたちの部分がとても良かったです。

前日の「前夜祭」で超至近距離で見た時、ダンサーの身長差がすごくあったのがよくわかっていたのですが、舞台遠目から見ると全く気にならなくなるのが面白かったです。構成や振り付けのお陰なのかもしれません。

ただ、ダンサー間の実力差は非常に目立ってしまったなぁと思います。統一感に欠けました。パ・ド・ブレ・クリュで途中で足が離れていってしまっている子が凄く目についてしまって、改めて、ああ、やっぱりこのパ、難しいんだよな、と思いました。

あとは、ピンクと青と黄色の衣装をそれぞれ数人ずつ着ているというお衣装だったのが、余計統一感を失わせているような気がして…この衣装の意図を知りたかったな…

 

第2部、ワールドプレミアムについて。

「海賊」を踊ったお二人は、とても個人技が光りました。井関さんはグランフェッテにダブルを何回も入れて、松浦さんもピルエット、すさまじい回転数でした。

井関さんは2019年にも踊りを見ましたが、その時よりも踊りが実に優雅で洗練されていると感じました。良かったです。ただ、個人的に、メドーラのVa.のア・ラ・スゴンドのターンが連続で続く部分は、パとパの繋ぎのうまさを見たいので、4番でためてピルエットが入ってしまうとちょっと残念だなと思いました。

松浦さんは、前にも一度踊りを見たことがあったと思うのですが、パワフルさがより増していたいた印象です。ピタっと止まりすぎでちょっと流れが寸断されてしまうのが個人的に気になったのと、パ・ド・ドゥのサポートがイマイチでしたかね。これからに期待です。

コンテンポラリー作品の「I won't stand still」、とても面白かった。もう1回観たい。二山さんの「エスメラルダの男性Va.」はあまり観ないヴァリエーションで珍しいな、と思って観ました。

「ふたパターン」は、横浜バレエフェスティバルではお馴染みの栁本さんのコントチックなやつです。「例のアレ」が来たぞ、という感じで見ました。(結構好きです。)あと踊りの完成度も毎度高いです。

メモ:ベートーヴェンの第9でガリガリに踊りまくった後に、「照明つけて」「かっこいい踊りって言われたけど、もう僕疲れちゃったから…」などと言い、海賊を踊った松浦さんを弄りまくって(楽屋で腹筋を絵で描いて目立たせてた、とか)、もう1パターン別の踊りを踊り始めるが、件の松浦さん(海賊の衣装で)と津川さんが手をつないで舞台に出てくるというオチ。

2部ラストは飯島さんと秋元さんのジゼル。よかったです。秋元さんは、東バで見たジゼルの舞台を思い出す素晴らしさでした。飯島さんは、直近でKバレエのドン・キを見たばかりでしたが、その時も思った通り、キトリよりはやっぱりこういう役柄で見たい方だな、と個人的に思いました。

横浜バレエフェスティバルのオープニングとラストが結構好きで、オープニングの、幕が上がって暗い舞台の上に、これから踊られる踊りたちのポーズを舞台上のダンサーがしていて、そこがスポットで照らされては消えていく、という演出には毎度ワクワクしますし、ラストのそれぞれのダンサーが披露した踊りのアレンジヴァージョンなどを短く踊ってくれるのも楽しみなのですが、今回はこのジゼルのお2人が、抜粋で踊った場面の続きを踊ってくれていたのが非常に嬉しかったです。

 

第3部、ワールドプレミアムについて。

コンテンポラリー作品「Written on skin」、確かラストの影を使った演出がとても良かったな、と思った作品でした。

「パキータ」のソリストのVa.、長くて難しい踊りで、正直なところ前日の前夜祭で見た時の方が良かったのでは?とは思いましたが、それでも比較的よかったと思います。音楽が録音なので、テンポが少し合わなかったのかも?前田さんも2019年に踊りを見ていましたが、その時よりも非常に動きが洗練されているように感じました。カンパニーでの研鑽の賜物でしょうね。

コンテンポラリー作品、「FORWARD」、エドワール・ユさんの作品は、身体の震えから動きが広がっていく振り付けが多いような気がしています。

木村優里さんの「瀕死の白鳥」は、やっぱりすごく難しい作品だな、と思いました。木村さんのポー・ド・ブラ、滑らかで美しかったですが、木村さんの腕の動きってちょっと独特なんですよね、好みが分かれそうだなとは思いましたが、来シーズンの新国立劇場の幕開け作品、「白鳥の湖」に期待が持てました。

最後の演目は「パリの炎」、菅井さんと二山さんのパ・ド・ドゥでした。大技の連続で、ラストに相応しくエネルギッシュで華やかな作品でした。

以前、ドン・キをこのお二人でやっていた時より、息が合っているように見えたのが良かったです。

菅井さんは特にすさまじかったです。ピケ回転からのジュテですさまじい跳躍力を見せ、グランフェッテではホップでジャンプを入れてさらに2回転を入れるといった身体能力はもちろんのこと、ジャンヌのVa.の音楽性がとても良かったと思いました。あの速いテンポの曲にピッタリと踊り、それでいて1つ1つのポーズも美しかった…いや、凄かったです。

二山さんはジュテ・アン・トゥールナンなどの跳躍でいとも軽やかそうに180°以上の開脚を見せていたのが素晴らしかったです。途中、滑ってしまった?ような場面があって、一瞬ケガをしていないか不安になったのですが、何事も無くて良かった。

 

(これは公演内容と直接関係ありませんが、)以前も横浜バレエフェスティバルを見た時に思った気がしたのですが、観客が踊り途中ですぐに拍手をするのが少しうっとおしかったと思った気がしたのですが、やっぱり今回も個人的には少しやりすぎ感があったのが残念でした。

総合的には、コンテンポラリーからクラシックまで幅広く鑑賞できる、なかなか面白い公演だと思うので、末永く続いてほしいです。が、もうちょっと、チケットのお値段がお安めだと良いと思うのですけどね…定価で購入するのは、正直悩むレベルです…。