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ju-hachi

2021/8/11 スヴェトラーナ・ザハーロワ&ワディム・レーピン「パ・ド・ドゥ」 バレエ&クラシック 感想

前橋でザハロワ&レーピン夫妻の公演を鑑賞してきました。

コロナの入国規制の影響で日程が変更になり、週末から平日の時間帯の公演になってしまったので鑑賞できなくなった方もいらっしゃるかもしれないですね。

私は逆に日程変更のお陰で鑑賞できるようになり、チケットを購入しました。

昨年、コロナのせいでボリショイの来日公演が無くなり、ザハロワ様が日本に来てくれることなんてもうないかも…と思っていたので、見ることができて幸運でしたし、更には世界バレエフェスティバルにも出演が決まって、この状況で2度もザハロワの瀕死の白鳥が見られることになって…なんて幸せなことだろうかと思います。

 

会場は"昌賢学園まえばしホール"でした。

初めて行きましたが、前橋駅から比較的近くで、コンパクトながらとても良いホールでした。

ただ、旧、"前橋市民文化会館"が、ネーミングライツを取得した昌賢学園を冠した名前へと変わったようなのですが、街中の案内表示はまだ"前橋市民文化会館"になっていて、道中は若干不安になりました…

 

演目

cast

 

 

レーピン氏の演奏パートと、レーピン氏伴奏などでザハロワ様が踊る、というパートが織り交ぜられたこの公演。

レーピン氏の演奏パートはクラシックの類はあまり詳しくない素人でも知っている曲ばかりでしたし、見ているだけで指が攣りそうな…しかめっ面になってしまいそうなほどの超絶技巧の曲が目白押しで、とても聞きごたえありました。あまりにも軽々とすさまじい早引きの曲も弾くものだから簡単そうに見えてしまいましたが、例え指が何本か増えても絶対に不可能だろうな…

そんな圧倒されるような技巧の曲も良かったのですが、個人的にはタイスの瞑想曲が周りのオケとも一体感が生まれていてとても良かったと思いました。

 

そして、ザハロワ様は…もう、その存在感たるや、目が吸い寄せられて離れませんでした。

頭身が…もう自分と同じ種族とはとても思えません。ただ立っているだけでなんて美しいのだろう…

クラシックの演目は呼吸も瞬きも忘れるような感覚で見入ってしまいました。

「ライモンダ」ももちろんですが、特に「瀕死の白鳥」はやっぱり素晴らしかったです。他人の手首の動きの一つを見ただけで、こんなにも感動できることがあるんだな、と思いました。見ていて手が震えてしまいました。

踊り方としてはなんとなく正統派?といった感じでしょうか。あまり腕を大きく動かすようなことはなく、死の淵の白鳥が生きようとして、それでも静かに死へ向かってしまったような…そんな気がしました。

 

また、なかなかクラシック以外を見る機会がほとんどないだろうザハロワ様の、コンテンポラリーちっくな作品をたくさん見ることができたのがこの公演のとても良かった所だと思います。

上演された「ヘンデル・プロジェクト」「カラヴァッジオ」と「Revelation」、どれも良かったです。特に「Revelation」はよかったです。素足になるとつま先の美しさがより際立ってわかりました。ア・ラ・スゴンドのアチチュードのポーズがすさまじい美しさでした…。

出演した男性ダンサーたちも皆さんとても素晴らしく、特に「カラヴァッジオ」のジャコポ・ティッシはザハロワとともに、まさに彫刻というか古代のレリーフさながらの見た目。あまりに美しすぎて、脳内で処理が追い付かないような感覚になって頭がおかしくなりそうでした。

面白かったのが、録音音源で踊るときとレーピン氏の伴奏で踊るときで、ザハロワ様の雰囲気が全然違ったことでしょうか。

レーピン氏の伴奏で踊っている時の方が雰囲気がなんとなく柔らかく見えたり、ずっと笑顔でとても可愛いな、と感じて、それがとても素敵でした。

 

ラストの演目の「レ・リュタン」はとても楽しい演目でした。

ザハロワ様をロパーティンとロブーヒンが取り合うようなやり取りをするけど、最後はやっぱり伴奏をしていたレーピン氏を選ぶというオチ。

初っ端はロブーヒンがマスク姿で登場→マスクをぶん投げて、「covid-19嫌い!自由になりたい!」といったことを言って、レーピン氏に「代わりに踊る?」と言ってみる、といったやり取りがあるなど、終始コミカルな作品でした。

曲タイトルのように、まさに妖精のようなザハロワ様が、肩紐付きの黒ズボンとシャツという格好で登場。笑顔でレーピン氏に「ほら見て―っ!」という感じで話しかけるようなやり取りなどがとても可愛かったです。

あと、ロパーティンの踊りがとても上品だったのも良かったです。

 

最後、アンコールには曲に合わせてダンサー全員でダンスバトルのような技の出し合いを見せてくれて、ジャコポ・ティッシのアントゥールナンは舞台から飛び出してきそうな勢いで圧倒されました。

皆さんサービス精神旺盛で、ザハロワは最後は手でハートマークを作って、ずっと「ありがとう」と言ってくれていて…みなさんとても楽しそうでこっちまで笑顔になりました。

 

平日だからしょうがないのですが、会場はやや寂しい入りだったのがちょっと残念でした…もっとたくさんの人が見れたら良かったのですがね…

とても良い公演でした。本当に、皆さん来日してくれてありがとう!