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ju-hachi

2022/3/5 ラ・エスメラルダ[公益社団法人日本バレエ協会] 感想

なんだかんだ毎年観に行っている日本バレエ協会の公演、今年はユーリ・ブルラーカ復元振付・演出版のラ・エスメラルダでした。

新国メンバーそろい踏みの公演回があり、かつ、非常に珍しいエスメラルダの全幕公演ということでずいぶん前から楽しみにしてチケットを取っていました。

 

当日は、本当ならプレトークがあったようなのですが、中止になっていました。

世界情勢を鑑みての事でしょうか…

 

timetable

notice

 

 

キャスト

casts

 

ストーリーはこう、あさーい物語でさっぱり好きになれなかったですが、全幕の流れの中で、ディアナとアクティオンを改めて観ることができたのは良かったなと思いました。コンクールで良く踊られる、エスメラルダのタンバリンのソロは踊られないものだということを改めて再確認できたのもよかったかな、と。

マイムが多く、また、物語の筋に直接関係のないディベルティスマンが多くて、とても古典らしい作品に感じました。しかし、ちょっとディベルティスマンの多さには覚悟していかないと、2幕途中とかで中だるみする感じがありました…。

あらすじを文章で読んだときは結構複雑なストーリーに感じたのですが、実際に鑑賞すると割とすっと理解できたのが不思議な感じでした。

 

物語の雰囲気は、許嫁がいるけど身分違いの恋をしちゃうところがバヤデールっぽい感じ…?フルール・ド・リスとのパ・ド・ドゥが入るところも、司祭・フロロが横恋慕、ということろもなんだかバヤデールっぽいな…と思ったり。

こちらの版は、ラストはフェブとエスメラルダが結ばれるハッピーエンドで良かったです。

 

ストーリーは全く好みではありませんでしたが、抜群のテクニックの米沢さんの踊りを堪能できたのがよかったです。エスメラルダの踊りは、印象としてはかなり単調な振り付けだなぁ、と思ったのですが、米沢さんが踊るとどのパもクリアではっきりとしているから、どこで切り取っても美しく、見惚れてしまいました。米沢さんらしい、純粋で無邪気な感じのエスメラルダだったと思います。床にも黒板にもФЕБとノリノリで書いちゃうのが納得できるような感じでした。珍しく、1幕の途中で院議足のシューズの紐が出てしまっていました。そのままほどけないか心配だったのですが無事に済んでよかった。。

中家さんのフェブも良かったです。浮気者で結構最低な男だと思うのですが、いい人っぷりがにじみ出ていて憎めない感じがしました。新国だと、癖のある役だったり、がっつり踊る機会にあまり恵まれない印象があるのですが、中家さんのボディコントロールのきいている、しかしダイナミックな踊りはとても好みです。長身で舞台映えもしますし、パ・ド・ドゥのサポートも良いし…もっと踊りを観たいなぁと思います。

後は、比較的飽きずにこの物語を観通せたのは、木下さんのグリンゴワールのお陰かなぁと思いました。1幕では、最初に登場した時の場違い間のある演技が抜群でしたし、踊りについていけないフリをするのもかわいかったです。2幕、すっかりロマの一団に加入しているのが板についた(?)グリンゴワールの踊りは抜群で、新国での昇格後、最近の木下さんの踊りの洗練されっぷりは素晴らしいなと改めて思いました。エスメラルダとの掛け合いもとても良かったので、エスメラルダはグリンゴワールを選べばよかったのに…とすら思ってしまいました。

観る前はキャスティングに気が付いていなかったのですが、フルール・ド・リス役は新国の玉井さんで、ここにも新国のダンサーが。中家さんとのパ・ド・ドゥ、上品で悪くなかったです。でも、ちょっと動きが小さかったかな。

余興で挿入されたディアナとアクティオンは、アクティオン役の方が大技が決まっていて印象的でした。ディアナは手に弓を持って踊っていました。

あとは、ロマの女頭目メゲーラ役の金田あゆ子さんの目力が凄くって印象に残っていました。

 

脇のキャストまで充実し、さらに上演機会もあまりない、珍しい全幕を観ることのできたとても貴重な公演でした。