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ju-hachi

2022/7/17 ロイヤル・バレエ・ガラ[Bプロ] 感想

ロイヤルガラ、Aプロに続きBプロを観てきました。

Aプロの時は数日前から「渋谷だぞ、オーチャードだぞ」って言い聞かせていたのですが、2回目は気が抜けてしまったのか無意識に上野に行くところでした。

 

キャスト

cast

 

「ジュエルズ」より"ダイヤモンド"

初っ端から引き込まれて気が付いたら感動して泣いてました…。サラ・ラムと平野さんはとても相性が良いのですね。サラ・ラムの、ブリリアントカットのダイヤモンドそのもののようなポーズ一つ一つの美しさ、流れるように遷移をする少しも無駄の無いムーブメントに目が離せず…そして、それを生み出しているのが平野さんのサポート力なのだと思います。自分の中で持っている、ある種の理想の動きの一つ一つが、この2人によってどんどんはめられていくような感覚がして、なんとも言えない心地よささえ感じました。


不思議の国のアリス」より第3幕のパ・ド・ドゥ

ガラでどうやって踊る演目なんだろうか、と思っていたのですが、ジャックのソロから、2人のパ・ド・ドゥまでを踊っていました。ソロとパ・ド・ドゥの間に、ハートの女王へ抗議するような演技などが無く、アリスのソロの踊りが少し入った感じ。予想より良かったです。アレクサンダー・キャンベルは、Aプロで彼が踊った度の演目よりも、こういったテクニックを要する踊りがとても合っている気がしました。高田さんはステップが鮮やかで軽やか。リフトの所は2人とも動きのキレがあって見ごたえがありました。


「アフター・ザ・レイン」

生ヴァイオリンと生ピアノの優しい旋律の伴奏つき。最初はシンクロしつつも別々に動いていた2人が、穏やかな音楽に合わせてだんだんと結びついていくような…しかし女性の方が何かを諦めているような…なんだか切ないような感じがする作品。最初の2人のダンサーが舞台上でゆっくりとゆらゆらと揺れている部分が、そのほんの少しの動きだけでも空気を動かすような所に引き込まれました。ポアントをはいていないマリアネラ・ヌニュスの美しい脚とつま先についつい目がいってしまいました…彼女の音の乗り方が抜群でそれにも魅了されました。リース・クラークは、ル・パルクのときよりはまだ色気を感じたような。でも…なんかこう、もうちょっと頑張ってほしい感じでした。


「精霊の踊り」

Aプロでも観た時同様、やはりなんだか深みが足りない踊りのような感じがしました。もう少し経ってから彼のこの演目をもう一度見てみたいと思いました。


「ウィズイン・ザ・ゴールデン・アワー」

全体的に記憶が薄い…あまりピンときませんでした。サラ・ラムの動きがただ美しかった記憶。衣装が、シースルーな感じの布に銀の雨のようなラインがたくさん入っているものだったのが面白かったです。


「ラプソディ」

これもあんまり記憶に残らず…。フランチェスカ・ヘイワードの細かなステップがよかったなぁと思った記憶はあるのですが、ただ彼女の最初のポアントの音がちょっとうるさかったのが気になってしまいました。アレクサンダー・キャンベルは、アリスに続きこういう演目の方がやっぱり合うんだろうなと思ったりしました。


ドン・キホーテ」より第3幕のパ・ド・ドゥ

2人ともお衣装が白で、ヤスミン・ナグディはバラの髪飾りに扇子が黒でとっても素敵でした。ガラ定番のお祭り演目ですが、2人ともサービス精神旺盛なのですかね。大技ありまくりで、コーダのラスト、ヤスミンがサポート無しで回った所なんかは客席も盛り上がりました。しかしロイヤルにあんまりその期待はしていないから、そんなに回転させたりバランスとったり、大技しまくらなくても…という気持ちにちょっとだけなってしまいました。ヤスミン・ナグディ、ラストのアチチュードターンでバランスを崩していたりしましたし。。。大技がなくとも、ヤスミン・ナグディの一つ一つのポーズの美しさ、ソロの足捌きが華麗で、体の引き上げっぷりを十分堪能しました。セザール・コラレスはこの日も大技キメキメでしたが、Aプロのアリの時の方が踊りがのびのびしていたような気がしました。

 

「タイスの瞑想曲」

アラビアっぽいエキゾチックな感じのオレンジ色の衣装で、サラ・ラムが薄いヴェールを掲げながら登場し、ヴェールを被って退場していくという、正確なコンセプトはわかりませんが、なんとなく砂漠のキンと冷える星が輝く夜に、オアシスで女性の幻影と踊る、みたいなシチュエーションを想像しました。まるで全幕の一部抜粋みたいに感じられて、面白い作品だったと思いました。また、この2人の相性はやはり良いのだなと再確認。


「インポッシブル・ヒューマン」(世界初演

エドワード・ワトソンの身体がひたすらに美しかった…。この作品は、まさにインポッシブルな体の動きを見せる、ということなのでしょうか。体を捩じり、床を使い、滑らかで連続した動きに目が離せませんでした。表題の歌詞が歌われる部分で、ゆらりと観客側にむかってたたずむ場面があったと思うのですが、彼の不気味ささえ感じるような存在感を感じました。人間って本当にこんなに体が動くもんなのかぁと感心し、かつ、本当にちょっとでいいからこんなに体を動かせるようになってみたいなぁとうらやましく思ったりしました。。。


「マノン」より第1幕(寝室)のパ・ド・ドゥ

Aプロではちょっとイマイチだったマノン、今回はまぁまぁかなぁーと思いました。ヤスミン・ナグディはマノンの小悪魔っぽさや少女っぽさをあまり感じず、ちょっと人が良さそうな大人の雰囲気のマノンに思えました。踊りは申し分なく。リース・クラークは純真な青年っぽい感じがAプロのアレクサンダー・キャンベルより役にマッチしていたような。でも、マクミランの難しい振り付けが、ステップが、イマイチ体に染みついていないのでしょう。今後に期待したいです。


「クローマ」

すごくよかった!作品とてもとても好きですが、高田さんもマルセリーノ・サンベもとんでもなく体が良く動き、2人のまるでダンスバトルのような、バチバチの闘争心が見えるような感じでとても格好良かったです。高田さんのコンテンポラリーを多分まともに見たのは初めてだと思うのですが、動きにキレがあって惹きつけられました。マルセリーノ・サンベは体全体の動きがしなやか。エドワード・ワトソンに続き、人間って本当にこんなに体が動くもんなのかぁと感心しました…。

 

ロミオとジュリエット」より第1幕のパ・ド・ドゥ    
セザール・コラレスの若さや情熱が溢れるようなソロ部分がとてもロミオらしかったです。フランチェスカ・ヘイワードは本当に恥じらいが可愛らしく、とても少女らしいジュリエットで、Aプロのマノンと別人のようでした。Aプロの2人よりは、2人の間にも盛り上がりを感じたような気がしました。


「グラン・パ・クラシック」

大トリはやはりこの人、という感じで、初っ端から会場中が前のめりになって集中しているような緊張感があって、マリアネラ・ヌニェスは恐らく会場の期待を一身に背負っていたのでしょう。その期待に、緊張感に、全く踊り負けないマリアネラ・ヌニェスの素晴らしさ。本当に来日してくれてありがたかったです。優れたバランス力を要所要所でみせつつ、あんまりにも涼しい顔でいとも簡単そうに踊るので、簡単な踊りだったけ?と勘違いしそうになります。ソロは音の取り方が少し独特な所があり、そこにやや違和感のようなものを感じたものの、もちろん大きくリズムから外れることはなく、それはそれで面白かったです。でも、どちらかといえば、Aプロのチャイパドの方がよかったですね。ウィリアム・ブレイスウェルは見た目がエレガントだし、ソロの跳躍なども難なくこなしていました、(大技後にちょっとドヤ顔っぽかったのにくすっときてしまいました。)

 

最後のカーテンコールはAプロに続き、各ペアで大技の応酬、高速回転、高いリフト、リフトからのダイブも。見ていてとても楽しかったです。

みなさん、無事に来日、そして公演をしてくださってありがたかったです。

 

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