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ドイツ オーバーアマガウ 10年に1度のキリスト受難劇がCOVID-19の影響で2020年→2022年に延期になった話

新型コロナウイルスの影響で遂に疫病により始めたイベントが疫病のため延期になるという事態に遭遇してしまいました。

 

 

南ドイツ、バイエルン州ガルミッシュ=パルテンキルヒェン郡にある小さな村、オーバーアマガウでは”ペストの流行がおさまったら10年に1度受難劇を上演する”という誓いに基づいて、1633年から村人総出でキリスト受難劇を行っています。

 

(今の上演サイクルになったのは1680年以降からのようです。)

 

2020年の今年は実に42回目となる世界最大規模の受難劇が5月から10月までにかけて上演される予定でした。

 

しかし、新型コロナウイルスの影響により、今年の受難劇は全日程について2022年に延期することが3月19日に決定されました。

 

 

海外のニュース記事によると、過去には第2次世界大戦の影響で1940年に中止、第1次世界大戦の影響で1920年に2年延期、1770年にはバイエルンでの受難劇の上演が禁止されてしまっていた、ということで過去3回、受難劇が中止または延期となった年があったそうですが、2020年の今年は約400年の歴史で4回目の中止または延期が発生した年となってしまったようです。

 

 

 

さて、私、もうかれこれ10年近く前にオーバーアマガウに訪れたことがあり、いつかこの受難劇を観たいなぁと思っておりまして、今年、それはそれは気合を入れて(?)、全くの個人手配で今年8月の受難劇のチケットに加えて、ホテル、食事、バスチケット付きの3日間パッケージの予約をしていました。

 

今年1月あたりは、8月の上演ならきっとこの新型コロナ騒ぎも収まっているだろう…と楽観的に構えていたのですが、その後遂にヨーロッパにも新型コロナウイルスの影響が押し寄せ、状況は全く好転せず悪化の一途を辿っていましたので、3月に入ってからはもう8月といえどもドイツへの渡航は難しいだろうと、キャンセルをせねばと思っておりました。

 

悩みどころはキャンセル料でした。

 

2人分のパッケージ料金は、(チケットとホテルのランクによって異なる値段ですが)合計約1300€。

 

デポジット370€(当時レートで4万5千円くらい)が早々にカード決済されています。

 

Terms&Conditions的に、既に3月にはトータルコストの40%のキャンセル料がかかるようです。

 

正直な所、この状況ですし、返金措置になるということはないのだろうか…と、3月11日に、”まだ決めてないのだけれど、新型コロナウイルスの影響でキャンセルを検討しています。キャンセル料はいくらでしょう。もしかして返金の可能性がないか教えてくれないでしょうか?”といった感じのメールを主催側にしてみました。

 

数日後、”状況は理解しています”、”キャンセル料はTerms&Conditions通り”、というような文章が付け加わった、当時の受難劇公式サイトに掲載されていたものと同じ文章の以下の返信がありました。

 

”The situation is currently being reassessed following today's press conference by Bavarian Prime Minister Markus Söder.

Should the event be cancelled, the statutory rights of return naturally apply and you are entitled to a refund of the ticket price or the package price (arrangement).

We will inform you via our website should this case occur and how you can then assert your claim.

 

In Germany the coronavirus is taken very seriously. For the district of Garmisch-Partenkirchen, the corona risk has increased because there are first cases in the district. So far there is no case in Oberammergau or the neighbouring municipalities.
 
Due to the spread of the novel corona virus, the Bavarian state government at first wants prohibits events with more than 1,000 visitors until 19th April 2020.
 
If the situation does not calm down by 19th April 2020, the extension of this measure is explicitly not excluded by the Bavarian state government.
 
The situation is therefore constantly being reassessed by the municipality of Oberammergau.
 
Currently, emergency scenarios for the Oberammergau Passion Play are being developed for the case of an extension of the ban on major events beyond 19th April 2020.
 
As of today we assume that the premiere can take place on 16th May 2020.”

 

 

3月17日ぐらいまで、サイトに掲載されていたメッセージは上記とほぼ変わらないもので、どうやら上演をしそうだぞ…という雰囲気すら私は感じていました。

 

(そりゃもう中止ともなれば、この小さな村がおそらく多額の損害を被ってしまうだろうことは予想できます…)

 

うーん、しかし、40%のキャンセル料かぁ、と思いながら、ひとまずキャンセル料がさらに上がり、トータルコスト60%の支払いが必要になってしまう段階まで様子を見ようと思って、毎日受難劇公式サイトを確認していました。

 

状況の変化は突然、あっという間でした。

 

公式サイトへのメッセージ掲載に加え、日本時間で3月20日午前中にはこちらにも延期に関するメールが到着しました。

 

メールの内容は公式サイト掲載のものとほぼ同じ文章だと思います。

 

”The 42nd Oberammergau PassionPlay will be postponed due to the current situation caused by the corona pandemic.

 

The basis for this is a decision of the district administration of Garmisch-Partenkirchen, which prohibits the performance of the event planned from 16.05.2020 to 04.10.2020.

 

The health of our guests and participants is our highest priority, therefore the responsible persons have decided to postpone the premiere of the Passion Play, which was planned for 16 May 2020, until 2022.

 

The premiere is now scheduled for May 21, 2022.”

 

大規模イベントの禁止期間が延長されたことが大きな要因のようですかね。

 

そして、延期になったことで、予約者には選択肢が2つ用意されました。

 

①同じホテルアレンジ・座席ランクのまま2年後のチケットに変更し、2年後に参加する、②全ての費用の返金を受ける、ことが可能のようです。

 

大変ありがたい措置です本当に…。

 

私は①2年後のイベントに参加する、を選択する予定でいます。

 

PDFの依頼書とバウチャーの送付がどうやら必要なようなので、今後はその手続きをしないと、といった所です。

 

新型コロナウイルス恐るべし、です。

 

一刻も早く事態が終息し、2022年のイベントに参加しできることを祈っています。

 

オーバーアマガウ受難劇公式サイト

 

以下、かつてオーバーアマガウに訪れた時の写真を掘り出してみました。

 

家々のフレスコ画が美しい、本当に小さな町でした。

 

一番最初の写真が、受難劇が開催されるホールの写真のはずです。

 

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(2020/7/30 追記)

この日、受難劇主催者より、2022年に変更された受難劇チケットの請求書がメールで送付されてきました。

 

3月には変更依頼書を送付しており、主催者側から「チケットは3か月程度で2020年のものに変更される」との説明だったため、申請に不備でもあったのかな…と不安になっていたのですが、ひとまず安心しました。

 

しかし、まだまだ新型コロナ終息には程遠いこの状態…2年ごとはいえ、果たして無事にドイツに行けるだろうか…

 

不安でいっぱいですが、ともかく、一刻も早い新型コロナウイルス禍の終息を祈って!

 

 

 

 

2020/3/7 オネーギン[パリ・オペラ座バレエ団] 感想

パリ・オペラ座来日公演、オネーギンを観てきました。
マチネ、ソワレでキャスト違いです。
公演から数日経ってなお、オネーギンの曲が頭の中で鳴りやまないくらい素晴らしかったです。
 
 

会場は、初日よりもさらに強化された新型コロナウイルス対策っぷりでした。

初日から対応されていたサーモグラフィ設置、換気、出待ち禁止に加え、休憩時間を長めにとって更なる換気の徹底(窓や出入り口も開け放っていました)、マスク着用(着用のない人向けか、マスク配布もされていました)、飲食物の紙コップ提供などもされていました。

 

poster

 
マチネのキャストは、オネーギンがマチュー・ガニオ、タチヤーナはアマンディーヌ・アルビッソンでした。
 
キャスト マチネ(クリックで拡大)

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73回目の上演とのことです。

 

 

マチネで1番の驚きは、ジェルマン・ルーベ演じるレンスキーでした。

登場したときからオネーギン出てきた?と思わせるような洗練された貴族感で、この貴族的なレンスキーなら多少でも馬鹿にされたらすぐに決闘してしまうかも、と思わされました。

この十分にノーブルなレンスキーを差し置いてなんでオネーギンにいってしまうのだ、オリガ…

1幕も2幕も彼のヴァリエーションはとてもクリーンで、特に決闘前のヴァリエーションが秀逸で、上体をそらせる場面の背中の柔軟性は素晴らしかったです。

当面、これを超えるレンスキーを踊れる人は観れなさそうな気さえしてしまいました。

 

 

マチュー・ガニオのオネーギンは、1幕から、他人を心から信用することができないんだな、と感じられて、なんだか可哀そうな人に思えました。

とても紳士的で、表面上は優しく儀礼も尽くしますが、自分の価値観からはずれるような他人を侮る傲慢さや奢りがあり、ほとんどの人を見下しているようです。

タチヤーナの手紙をどこか彼女を諭すかのようにして破ってみたり、レンスキーに現実を悟らせるがため、女性なんてこんなもんだよ、とでも言いたげにオリガを誘ってみたり、自分はものすごく“正しい”と思っているし、さらに自分の経験からくる認識を他人は受け入れるはず、むしろ、そうすべきものだ、とすら思っているようでした。

 

レンスキーを殺してしまった後、自分の価値観に対する自信を多少は失ったでしょうが、それでもなお、彼は奢った考えを消し去ることができず、自分にとって"正しい"今のタチヤーナは自分を拒絶すべきではないのだ、とまで、どこかで信じてしまっていたのかもしれません。

一度は見下していただろうタチヤーナに、後ろめたく手紙を書いて勢いよく彼女の部屋に駆け込んでくる、焦っているかのようなオネーギンはとても滑稽で、ことさらに哀れに思えました。

 

ジゼルのアルブレヒトもそうだったのですが、オネーギンもマチュー・ガニオが演じるとなぜか憎めないと感じてしまうのが不思議です。

観た直後には、もしかしたら彼自身、演じるオネーギンのことを可哀想な人、と第三者的に思って演じているのかもしれない、と感じました。

 

 

アマンディーヌ・アルビッソンのタチヤーナは、知的で物静かで内気っぽい雰囲気がとても自然でした。

そして踊りがとても美しかった。

特に脚とつま先の美しさが並外れていてそこにばかり注目してしまったように思います。

鏡のパ・ド・ドゥの場面、彼女がリフトされて天に上げた脚は見とれてしまいました。

(パ・ド・ドゥ自体は、ガニオとアルビッソンの身長差があまりなかったからか迫力に疾走感に欠ける感ありましたが…)

 

彼女のポアントで立っている時の足や甲も非常に美しかったのですが、特にドゥミ・ポアントからポアントにする時や、ドゥミ・ポアントから地を離れる時などの足の甲や土踏まずのラインには眼が釘付けになってしまいました。

 

オリガのレオノール・ボラックも、レンスキーとのパ・ド・ドゥでのデヴェロッペで高くあげた脚のキープがとても美しく長く、印象に残りました。

パリオペの多くの女性ダンサーに感じたことでもあるのですが、ストゥニューやデヴェロッペ、アチチュードからアロンジェ、出した足を別のポジションへ持っていく時など、最終的なポジションに持って行くまでの動きが非常にゆっくりで粘っこい、その動きになんとも言えない優雅さがあると思いました。

 

 

3幕のパ・ド・ドゥ、マチュー、アマンディーヌとも比較的抑えめの演技だったと思うのですが、それ故に一瞬の表情が強烈に印象に残りました。

オネーギンが床に座りこんだ状態でタチヤーナの手を引く序盤、一瞬、上目遣いでタチヤーナを見上げるオネーギンが子犬のような何とも言えない目をしていて…私はまんまとやられてしまい、タチヤーナがこれを拒絶できるはずがないとまで思えました。

 

事実、アマンディーヌのタチヤーナは揺れに揺れてほとんどオネーギンに身を委ねそうになってしまいますが、それでもなんとか振り切って、オネーギンに「出ていって」と指し示し、拒絶する。

そのタチヤーナにオネーギンがすがりつくシーン、二度目に出口を指し示す前に見せた彼女の、天に向けた、オネーギンへの未練が強く残っているの感じさせるような苦悶の表情が個人的に絶妙で、切なく胸に刺さるようでした。

 

 

ソワレのキャストはオネーギンがユーゴ・マルシャン、タチヤーナがドロテ・ジルベールでした。
 
キャスト ソワレ(クリックで拡大)

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 74回目の上演です。
 
 

マチネではすさまじくノーブルなレンスキーでしたが、ソワレのポール・マルクのレンスキーはジェルマン・ルーヴェよりは率直で人の良さそうな、より王道に近いレンスキーだったと思いました。

ジェルマン・ルーヴェのあの柔軟性を観た後だと、踊りはちょっと物足りませんでしたが、脚のラインが綺麗だな、と思いました。

 

オリガを演じたナイス・デュボスクは小顔でスタイルが抜群。

1幕、レンスキーとのパ・ド・ドゥではマチネのレオノール・ボラックのデヴェロッペのキープを見た後だとやはり物足りず、ポール・マルクとは身長差がなくてちょっと辛そうに見えました。

しかし、2幕のオネーギンとオリガがレンスキーをおちょくりながら踊るシーンではオリガの無邪気さが良く表現されていて、あれはレンスキーが怒ってしまうのも納得でした。

 

 

 

 

マチュー・ガニオの憐憫をさそうようなオネーギンと打って変わり、ユーゴ・マルシャンのオネーギンは非常に強烈で、初っ端から大変に嫌なやつ感満載でした。

冷たい表情でどの場面でもひたっすらつまらなさそう、ちょっと表情を崩したと思ったら、タチヤーナに本を返す時の大変小馬鹿にしたような顔をしていました。

マチュー・ガニオの時はどうしてムカつかなかったのかわからないくらい、オネーギンが悪魔のように嫌なやつだと思えました。

 

鏡のパ・ド・ドゥは、鉄仮面オネーギンが素晴らしい笑顔で登場しますので、非常に別人とわかりやすかったです。

(タチヤーナはあのオネーギンから良くこの夢を見られるものだ、と思いつつ、)タチヤーナに優しく笑いかけるオネーギンに幸せ絶頂のタチヤーナ、この甘美な夢がずっと続けばよかったのに…と思いました。

 

2幕のオネーギンは、カードいじりを始めるも、それすら飽きてしまい、自分の爪をいじり始めまでする、ひまつぶしに余念がありません。

このつまらなさが伝わるような細かい所の演技にも関心しました。

 

おざなりなタチヤーナとの踊りや、彼女の手紙を破る所も、実に尊大で、めんどくさくてかったるくて苛々する!というセリフでも聞こえてきそうなオネーギンは、震えてしまいそうなほど恐ろしくて…夢の中のオネーギン、頼むから帰ってきて…と思いました。

ひまつぶしの一環か、オリガにちょっかいをかけるという、友人の嫌がることでさえ平気でしてしまうオネーギンはとても幼く感じました。

 

いよいよ決闘という時には、レンスキーと和解を試みるような様子があり、少しでも彼にとってレンスキーが大切だったと思わせますが、結局レンスキーは和解を受け入れず、オネーギンは爆発した怒りに我を忘れて彼を殺してしまいます。

 

自分の感情をコントロールできない、未熟な人物のように思われました。

タチヤーナの厳しい視線にふと、我に返って自分のしたことに気づくと、後悔にさいなまれてか、泣き出してしまいます。

 

これがオネーギンにとって初めての挫折だったのでしょう、その後の彼はひたすら地獄のような日々を過ごしていたのかもしれないと想像させるように、3幕のオネーギンは、それまでの尊大な様子が嘘のように、背中が少し曲がって小さくなっているように見えました。

この人物を作り上げ、一連の変化を表現したユーゴ・マルシャンには感服です。

 

彼の踊りも素晴らしくて、1幕のヴァリエーションはあまりに軽々と踊っていて、どのパも力強く滑らか、かつ洗練されていて、特に跳躍の時のラインが美しくて、身震いしてしまいました。

 

ドロテ・ジルベールのタチヤーナは、夢中になると一筋で自分の意思が強い女性という感じがしました。

2幕のタチヤーナのソロで地団太を踏むように床を強く叩いた所は、なぜ自分の気持ちが伝わらないのかと苛立つタチヤーナの気持ちが伝わり、また彼女の意思の強さも感じられました。

 

決闘後にオネーギンを見つめるジルベールのタチヤーナの目、何かを決心したように見えて、あの時、彼女の初恋は終わってしまったのだ、と、物語が決定づけられたように感じさせました。

 

また、3幕のドロテ・ジルベールの変貌っぷりたるや、打って変わって別人のように高貴で、オネーギンもそれは驚くだろうと思いました。

穏やかで優しく温かい、幸せを噛みしめるようなタチヤーナから、夫、グレーミンへの静かで一途な愛情が感じられました。

タチヤーナがグレーミンとともに舞台袖にはける時に、ちらっとオネーギンを振り返って気にするように見る、その表情や目線が大変美しかったです。

ジルベールは上半身がしなやかだと思いました。

1幕のパ・ド・ドゥ後にオネーギンと分かれる際に上半身をそらせて舞台袖へ消えていく所がすごく印象的で、この時に左側の席で鑑賞していて良かった、と思いました。

 

 

ラストのパ・ド・ドゥは、タチヤーナとオネーギンの闘いのようでした。

踊りもジルベールをアクロバティックに、まるで放り投げるようにしてから受け止めるユーゴ・マルシャンが凄まじかったのですが、演技も激しかった。

タチヤーナへの懇願に次第に熱が入っていき、髪の毛を乱しながら必死になっていくオネーギン、あれほど全てがつまらない様子で極めて尊大だった男がここまで他人に激しく、全てを投げ打って懇願する様に、胸が苦しくなってしまって気がつくと涙がにじんでしまいました。

ドロテ・ジルベールも応戦、といった形容が相応しい程、鬼気迫るような演技で、途中は客席まで二人の息づかいが聞こえてきて、本当に何かしゃべってるんじゃないか?と思わせるほど凄まじかったです。

これだけ激しく、強烈な懇願を受けてなお、オネーギンを受け入れないドロテのタチヤーナは、最後にオネーギンがすがりつくシーンでもほとんど迷うことなく拒絶していたように見えました。

 

やはり、彼女は2幕最後の場面で意志固く、彼への思いはほぼ断ち切っていたのではないかと思いました。

 

 

それぞれの回でそれぞれのオネーギン、タチヤーナのドラマがあり、二回、別キャストで見れて本当に良かったです。

個人的にジゼルよりもずっと、ずっと良かったです。

もっと欲を言えば、主役2人をもっと別の組み合わせで観たかったとも思います。

 

しかし、何よりもこの困難な時に最後までこの公演を続け、今この時、このダンサー達が踊るこの作品を見る機会を無くさないで下さったことに感謝したいです。

2020/2/27 ジゼル[パリ・オペラ座バレエ団] 感想

パリ・オペラ座バレエ団のジゼルを観てきました。
来日公演初日、ジゼルがドロテ・ジルベール、アルブレヒトマチュー・ガニオです。
 

 

キャスト(クリックで拡大)

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261回目の公演とのことです。

 

 

 

 
突出してここ、という強い感動が得られた場面はなく、想像していたよりは(また、チケットのお値段に対しても、)普通だったかな、と思いました。
安定した舞台で満足感は得られました。
主役2人はそれぞれ存在感があり、舞台を率いていくような力を感じました。
 
1幕、ドロテ・ジルベールのジゼルはとっても可憐でいじらしかったです。
本当にちょっとした、上目遣いだったり、首を少しかしげる動作だったりが愛らしくて素敵でした。
狂乱の場面も決して大げさだったり演技過多ではなく、抑え目な感じだったのが個人的に良かったです。
(狂乱の場面、パリ・オペは髪の毛は全てほどくわけではなく、まとまった髪の状態のままにするのですね。)
 
 
2幕のウィリとなったジゼルは、顔色も青白く、体温が感じられないような抜け殻の死人のようでした。
それでも、端々の目のやり方や動作から、アルブレヒトへの愛情がわずかに残っていて、その感情が彼女を突き動かしていると感じられたのが非常に素晴らしいと思いました。
どの場面でも彼女の腕が作り出す空間が非常に美しく、アルブレヒトを優しく包む腕は慈愛に満ち溢れていました。
とてもクリアに、雑味なく踊るので、それがまた人間っぽくないように見えました。
 
後ろ向きで袖へと消えていく音のしない高速パ・ド・ブレは圧巻で、また、パ・ド・ドゥでサポートを受けてアラベスクでトントンと進み、方向を転換してまたアラベスクで進む、といったシーン、方向を切り替える瞬間が本当に宙に浮かんでいるようなこの世のものと思えない浮遊感で、素晴らしい精霊っぷりでした。
 
 
マチュー・ガニオのアルブレヒトは、登場した時から美しすぎました。
村人の振り、全くできていないよね?と思ってしまうくらい貴族らしいノーブルさが漂う様子なのですが、ちょっと上から目線で横柄というか、傲慢そうな感じが動作や表情の端々で表現されていて、演技が細かいと思いました。
 
2幕はマチュー・ガニオに黒マントと白い花があまりに似合いすぎていてため息が漏れました。
もう語彙力がなさすぎますが、ただ美しいです。
どの場面でも後悔や苦悶の表情を浮かべるのですが、それが大げさでなく、演技が自然でした。
 
 
ミルタへ許しを請う場面、彼はアントルシャ・シスではなくソ・デ・バスクを繰り返す形に変えていて、(ちょっと寂しいな、と思いましたが、)回数を重ねて断られ続けることで徐々に絶望していく様子が伝わり、この形も面白かったと思いました。
 

ラスト、お墓の前で目覚めたアルブレヒトは、白い花を一輪手に、舞台の方へ掲げつつゆっくりと歩いて幕となりましたが、初日のこの時は、アルブレヒトの胸のあたりに1輪の花がくっついてしまっていました。

多分、偶然のことだと思うのですが、アルブレヒトの心にジゼルがこの花のように残った、というようなイメージを勝手にしてしまって…個人的には大変良かったと思いました。

 
 
全体的に、パリ・オペのダンサー達は誰も彼も洗練された動きで、特にどの場面でも5番に深く入れて決める所が格別に思いました。
2幕よりは1幕の村のにぎやかなシーンの方が良かった印象です。
 
ペザントは、フランチェスコ・ミュラの足捌きは素晴らしかったですが、2人ともいかんせん小柄で、踊りもやや小さく見えてちょっとイマイチでした。
(大変失礼ですが、マリーヌ・ガニオはお化粧が濃い目で怖かったです。。)

 

サイコロ博打をしているところにウィリがなだれ込んでくる場面が恐怖をあおられる感じで好きでした。

オニール・八菜のミルタは踊りから重々しさがかなり良く表現されていて、ウィリ達に命令を下す場面はもちろん、立っている後ろ姿に威厳が感じられるようだったのが特に良かったと思いました。

 

パ・ド・ブレも滑らかで、床が動いているのでは、と思うような滑らかさでした。

ウィリ達の踊りもまとまっていて、衣装のフワフワ感もとても美しかったですが、全体的にポアントの音がうるさく、ちょっとバタバタした様子だったように思いました。

 
 
「美しいものを観た」という実感はあるのですが、なんだか全体的にはぼんやりとした印象でした。
少し残念だったのですが、この状況で上演してくれただけでも、と思います…。
 

2020/2/26 マノン[新国立劇場バレエ団] 感想

新国立マクミラン版マノン、別キャストで鑑賞2回目です。
マノンは小野絢子さん、デ・グリューは福岡雄大さんです。
 
 
波乱の舞台でした。
新型コロナウイルスの影響でこれより後の公演は全キャンセル。
突然の千秋楽、小野マノンはこの日のみになってしまいました。
 

information


私は会場についてから知りましたが、会場の様子から、慌てて今日の公演を見にきた人も多かったように思えました。
 

さらに、なかなか開演しないと思ったら、寺田亜沙子さんの怪我降板のお知らせが。

よっぽど直前のことだったのか、準備のためということで20分ほど遅れて開演しました。
急きょ、木村優里さんがレスコーの愛人役に入りということで、幕があがりました。

 

 

 

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casts

 
 
小野マノンの説得力があり、厚みのある役作りがとてもよかったです。
先日の米沢マノンに比べると、小野マノンはあどけなさの欠片もなく、計算高く完全に自分の価値を理解しているように見えました。
彼女のマノンは瞳がとても印象的でした。
このマノンの世界で欲情の対象は脚だと思うのですが、愛情は相手の瞳に向けられるのでしょうか。
1幕の寝室パ・ド・ドゥ、小野マノン、福岡デ・グリューとずっと見つめ合いっぱなしで、こんなに喜び溢れ、感情剥き出しに見える小野絢子はみたことがない、というくらい輝くばかりで、この時点で涙が出てしまいました。
 
しかし、その後、ムッシューからの美しいコートや宝石を贈られたマノンは、先ほどまでと打って変わった、瞳の色を変えるとはこのこと、という感じでうっとりと見つめます。
そして、レスコーに耳打ちされ、アイツを何とかすれば手に入るのね、といった目線をレスコーとともにムッシューに送るのですが、それがつい先ほどまでデ・グリューと愛しあって、見つめ合っていた時の瞳とは全く違う、獲物を狙うような、金に取り憑かれてしまったような瞳で、そのあまり変わりようにゾッとしました。
マノンが自分の魅力に気づき、妖艶で魅力的にどんどん変貌していく様がわかる上、その変化も全く違和感がありませんでした。
 
1幕ラストでは毛皮コートをこれまで常に着ていたとも思えるような、高貴さまで漂わせ、2幕は登場から、マノン…あなた、変わっちゃったのね…と言ってしまうような雰囲気を醸し出し、グリューとのパ・ド・ドゥも、愛情は感じるけれど1幕とは何か違う…と感じさせました。
 
 
小野マノンは、デ・グリューと会ってしまったことで運命を狂わされてしまったとのだ、強く思えました。
彼女は自分の意志で選んでこの世界で成功したプライドを持っており、2幕の腕輪をデ・グリューに手放すように求められるシーンも己の才覚で自力で手に入れたものを捨てることが耐え難い、という様子に見えました。
自力で手に入れた何もかも全てを捨てるように懇願されて、愛故にそれを受け入れてしまい、全て捨てて抜け殻のようにボロボロになって、それでもなおデ・グリューにすがるようについて行ってしまう…
小野マノンは、もはやデ・グリューに殺されてしまったようにすら見え、私にはデ・グリューが憎らしくさえ思えてしまいました。
 
 
福岡さんのデ・グリューを見て思ったのは、マクミランの振り付けと、この演目の難しさでした。
振りを踊れていることは間違いありませんし、安定感はあったのですが、どの場面でもどうもしっくりきません。
感情が伴っていないといいますか、何かが物足りませんでした。
ムンタギロフの時は、あれだけ一つ一つのパが語ってくるようだったのですが、福岡デ・グリューからは何も伝わってこないように思いました。
あの理想のデ・グリューを見てしまった後だと分が悪かったですね…。
2幕の、マノンと腕輪のことで争うシーンでは、小野マノンと互いに会話が聞こえるようでしたし、3幕はましだった気がしますが…
 
3幕は米沢&ムンタギロフ程の感動は得られませんでした。
むしろこのペアが圧倒的過ぎたのだと思いますが…。
そもそも、この演目の踊りは米沢唯さん向きだったと思います。
 
 
主役2人以外は、初日に見た時よりもやはり多少こなれた印象でした。
物乞いのリーダーはジャンプがキレキレ、と思ったら速水渉悟さんでした。
やはり彼の跳躍は胸がすくようです。
高級娼婦2人が蹴ったりするシーン、渡辺与布さん 、池田理沙子さん(池田さんの方が蹴りを入れる側だったですかね?)だったと思うのですが、息があっていて初日より印象的でした。
 
渡邊さんのレスコーは酔っ払いの踊りのシーンは迫力がありました。
しかし、演技は木下さんのレスコーの方がよかったと思いますし、全体的にチンピラになりきれなかったような感じというか、ノーブルさが拭えませんでした。
彼の方がデ・グリューはお似合いだったのでは。
 
当初予定ペアでは無かったはずなので、ほぼ、ぶっつけ本番ではないかと思われる渡邊レスコーと木村愛人のパ・ド・ドゥはちゃんと笑いをとっていて、息もあっていました。
この日、急遽愛人を演じた木村さんは、1幕からとても安心できる気合いの入りっぷりでした。
ニューイヤー・バレエの失敗した場面でも思いましたが、逆境で強くなれるタイプなんでしょうか。
 
一つ一つのパごとにくるくる表情が変わり、初日より艶やかで大変良かったです。
 
 
このペア、たった1日の上演だけとは…本当に残念でした。
 
なるべく早く再演を願います。
 
 
開演前に小野絢子さん監修のスイーツ、”デ・グリューの愛の詩 (Act1のソロより)~カルヴァドス風味のサバラン”、800円を食べました。
 
お酒がたっぷり、びしゃびしゃに染みていて、フォークで切る度にじゅわっと出てくる程。
 
とてもおいしかったです。
 

cake

2020/2/22 マノン[新国立劇場バレエ団] 感想

新国立のケネス・マクミラン版マノンを観てきました。
 
マノンが米沢唯さん、デ・グリューがワディム・ムンタギロフです。
新国立劇場バレエ団にはロメオとジュリエットに続き、また泣かされてしまいました。
 
キャスト(クリックで拡大)

casts

 

 
なんといってもこの公演はワディム・ムンタギロフのおかげでとんでもなく素晴らしい公演になったと思います。
彼なくしてはこの感動はなかったと思います。
この状況の中、日本に来てくれて本当にありがとう…!
 
これまで見た彼の印象としては、ノーブルな王子様が似合うよね、としか思っていませんでした。
バジル役で見ても、どこか行儀がよくて王子っぽいくらい。
でも、この公演では全くその印象が覆されました。
まさかここまでの熱演を見せてくれようとは。
 
まず見た目からして完璧に、物語からそのまま出てきたかのようなデ・グリュー。
そして、踊り出すと王子様然したムンタギロフから想像できなかったほど、溢れる感情がそのまま、パの一つ一つに込められて語りかけてくるようでした。
マノンに対するとてもとても激しい愛情を感じられます。
演技自体は大げさでなく自然なのですが、特に、2幕でマノンに戻るよう迫る場面なんかとても切なくて切なくて…
マノンへの一心で盲目な愛が伝わる彼の踊りや演技のおかげで、この物語に強力な説得力が出たと思いました。
 
 
 
米沢唯さんはマノンを演じるのは初めて、ということでしたが、役作りが面白いと感じました。
 
1幕のマノン、何も知らない精神年齢低めの子供のような無垢さで、コートをかけられたりしたシーンでも「きらきらですべすべでだいすき!」とでも言いそうな、ただただ幼い感じに見えました。
ムッシューG.M.とレスコーとのパ・ド・トロワのシーンでも、私にはムッシューG.M.の反応がおもしろくてからかっている、といった感じにも思えました。
 
そして、意外にもそれは2幕でもそのままで、強かだったり腹黒だったり、欲に溺れたような感じはせず、人々に流されるがまま、単純さや純粋さのようなものがそのまま失われていないように見えました。
 
俗っぽく言ってしまえばなんだか頭カラッポという感じにも見えました。
自覚なく天然で人を誑かす悪女ってこういう感じなんでしょうか。
 
個人的にはリアリティに欠けるように思えて、あまり納得できるキャラクターには感じられなかったのですが、これはこれで面白いと思いました。
米沢唯さんぐらいのピュアさがないとなかなかこんな風に感じられることもないように思いました。
 
 
一方で、3幕の米沢唯マノンは1、2幕までの物語全てを私から持って行ってしまいました。
 
登場した時からもうボロボロ、細い脚がとても痛々しく見える程米沢唯マノンは、もうあまりにも悲惨で、悲劇の固まりみたいな様子だったので、今までの彼女がやってきた自業自得とも思える所業の物語の全てが頭から消え去ってしまって、マノンにどうしても同情してしまいました。
 
雰囲気、2019年のニューイヤー・バレエでの火の鳥で見た彼女を思い出しました。
あれも彼女の踊り、すばらしかったなと。(演目の内容としては好みではありませんでしたが…)
 
 
沼地のパ・ド・ドゥはこの一瞬をマノンとして生き切るが如き米沢マノンを、涙なくしては観ることができませんでした。
 
米沢さんは、普段はパ・ド・ドゥを踊っていても相手に預けるような感じがあまりない、というか、彼女一人で自立している(自立できちゃう)所があるように思うのですが、この時は、あの米沢さんが全く自立できないように見えました。 
あの米沢さんが。
 
そして、高難度のダイブだったり、リフトが繰り返されるパ・ド・ドゥでは、ギリギリ限界まで相手に預けるような動きを見せて、もはや相手をほとんどみずに飛び込んですらいたと思います。
 
それが実現できたのも、観客にすら一部の不安も与えないムンタギロフのサポート力のお陰だと思いますし、2人の盤石の技術があるからこそで、もう、本当にこのパ・ド・ドゥでは胸が熱くなりました。
圧巻のパフォーマンスでした。
 
 
バレエ団全体的には初日ということもあり、少しかたいような印象でした。
徐々にそのかたさも取れて少しずつ熱量が増していきましたが、それでも、いつもの新国立バレエ団の公演よりも、主役以外の印象は薄く、パが馴染んでいないような、振り回されているような感じに見えるように思いました。
 
もっと後の上演回になったらこなれてきてるかもしれないですね。
 
 
木下嘉人さんのレスコーは若々しく軽妙で、演技がよかったように思いました。
1幕ラストのデ・グリューとの2人のパがムンタギロフの演技との相乗効果もあったかもしれませんが、迫るものがありました。
ただ、酔っぱらって踊る場面は、綺麗に踊れすぎていて正気っぽい感じに見えてしまいました。
 
レスコーと愛人のパ・ド・ドゥも息があっていてよかったと思います。
レスコーの愛人を演じた木村優里さんは、ロメオとジュリエットの時も思いましたが、こういうドラマティックな演目はやはり合っていると思います。
 
華やかで、決して自分を安売りしない強かさのある娼婦を良く演じてたと思いました。
しかし、あまりに表情豊かすぎるというか、どこか"高級"娼婦感には欠けるように思いました。
 
次は彼女のマノンを観てみたいな…ぜひ。

 

time table

 

2020/2/16 ホラーナイト[NBAバレエ団] 感想

NBAバレエ団のホラーナイトを観てきました。

 

ダブルビルで宝満氏振り付けの狼男と、ピンク版のドラキュラ1幕のみ、の上演です。

ロイヤルの平野亮一さんがドラキュラに出演するということで見に行ってみました。

 

times

 

キャスト(クリックで拡大)

casts

 

 

 

 

宝満氏振り付けの狼男は、人狼になってしまった者たちの孤独や、哀しみなどを表現した、物語のある振り付けのようでした。

が、私は途中のコメディシーンを見たあたりでややしらけてしまい、照明を絞って薄暗くなっている舞台でぼんやりと寝始めてしまいました…


想像よりはスタイリッシュな振り付けの作品でしたので、もう一回何かの機会で観たいなと思います…。

 


ピンク版のドラキュラは、全3幕ものの1幕のみの上演だったのですがとても見ごたえありました。

 内容的にもマシューボーン作品ぽい雰囲気がありました。
セットなどもマシュー・ボーン作品感あるな、と思ったのですが、それもそのはず、同じレズ・ブラザーストン担当ということで、納得です。
ゴシックな世界観に引き込まれます。

また、村での儀式の場面での、民族舞踊っぽい感じの踊りがとても見ごたえありました。

ゾクゾクするような怖さがありました。


さて、お目当ての平野亮一さんのドラキュラは存在感抜群で圧巻でした。
フードの人物として登場しただけでも圧倒的な存在感があったのですが、真っ赤な衣装で出てきた時はもう立っているだけで何か禍々しいオーラを放っているよう。

一挙手一投足に引き込まれてしまいます。
普通の人間であれば、この者に会った時点で、これはやばい、と感じてきっと逃げるだろう…と思うぐらいです。
また、ポーズのキープ力とその美しさのおかげか跳躍の滞空時間が非常に長く、異形の生物感が強調されていました。

 

ジョナサン・ハーカー役の宮内浩之さんの渾身の怖がりっぷりも非常に良かったです。
1幕ラストのパ・ド・ドゥは色気があってとても見ごたえがありました。
カーテンコールの際もドラキュラを演じ切った平野さんは作品の世界を壊さないこだわりが見えて興味深かったです。

コートのすそ裁きも素晴らしく、とにかく出てきただけで存在感があります。

 

1幕だけだと、本当にここで…終わってしまうのですか…といったところで終わってしまいます。

先が気になってたまりません。
実に8月の公演を見たかったのですが…日程的に断念…非常に残念です。

 

冒頭に久保芸術監督によるトークがありました。

「映画や演劇などのいろいろな分野でホラー作品はあるのにバレエはあまりない」というようなことをおっしゃっており、確かに納得です。

そういう意味で今回の公演も面白い上演方法だったと思います。


ドラキュラ全幕は8月に上演されますが、それこそハロウィン時期にこういう作品を上演すれば、バレエにあまりなじみのない人でも訪れてみよう、と思うのかもしれないと思いました。

2020/2 ベーカリーレストラン サンマルク "サーモンと大海老のグリル 和風バターソース" あなどれない柔らかい海老

焼き立てパンが次々ともらえるレストラン、サンマルクに行ってきました。

 

ベーカリーレストランということで、もちろんメインは焼き立てのパンです。

 

パンの食べ放題を注文すれば、焼き立ての小さなパンをかごいっぱいに入れた店員が各テーブルを回ってパンを配ってくれ、いろいろな種類のパンを食べることができるお店です。

 

既に何度かこのお店には来店したことがあり、今回ももちろんお目当てはパン、と思っていたものの、恐らくシーズンごとに異なるメインのメニューに今回は海老のものを発見したので、海老のメイン+パンの食べ放題を注文しました。

 

menu

 

小さなパンたちは本当に種類が豊富で、チャバタ、チョコパン、チーズパン、クロワッサン、バターロール、オニオンパン、スパイスチャバタ、フレンチトースト…甘いものからしょっぱいものまでさまざま。

 

結構な時間が経って、さんざんパンをもらって食べた後、メインの海老が運ばれてきました。

 

サーモンと大海老のグリル 和風バターソース 1,290円+税

food

 

見た目がかなりおしゃれで、ピンクペッパーがとても可愛らしいです。

 

付け合わせの野菜はレンコンとオクラ。

 

海老については、大海老、というには少々小さめの気がしましたが、身も味もしっかりしているのに柔らかくて、予想外にとてもおいしかったです。

 

頭もしっぽもついていましたが、意外と殻がするっと取れて、海老味噌もしっかり味わえました。

 

ポン酢のような酸味のあるソースと非常によく合って、大葉のアクセントも良かったです。

 

サーモンもかなり大きくて身がふっくら柔らかく、脂がのっていて甘く感じました。

 

また、パンを既にいっぱいに詰め込んでいたお腹には優しい量のメインでした。

 

以前、鶏肉系のメニューを頼んだ時は、予想外にドカンとかなりの量が来てしまって、食べるのに苦労したことがあったのですが、魚系のメニューを頼んだ時はそのようなことがほとんどない気がします。

 

食べる量にあまり自信のない方は魚系のメニューだと丁度良い量になりやすいかもしれません。

 

(そもそもパンを食べる量を調節すればよいだけかもしれないのですが…ね…)

 

ともかく、予想外においしい海老を食べられて大変満足でした。

 

ごちそうさまでした。