NBAバレエ団のホラーナイトを観てきました。
ダブルビルで宝満氏振り付けの狼男と、ピンク版のドラキュラ1幕のみ、の上演です。
ロイヤルの平野亮一さんがドラキュラに出演するということで見に行ってみました。
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宝満氏振り付けの狼男は、人狼になってしまった者たちの孤独や、哀しみなどを表現した、物語のある振り付けのようでした。
が、私は途中のコメディシーンを見たあたりでややしらけてしまい、照明を絞って薄暗くなっている舞台でぼんやりと寝始めてしまいました…
想像よりはスタイリッシュな振り付けの作品でしたので、もう一回何かの機会で観たいなと思います…。
ピンク版のドラキュラは、全3幕ものの1幕のみの上演だったのですがとても見ごたえありました。
内容的にもマシューボーン作品ぽい雰囲気がありました。
セットなどもマシュー・ボーン作品感あるな、と思ったのですが、それもそのはず、同じレズ・ブラザーストン担当ということで、納得です。
ゴシックな世界観に引き込まれます。
また、村での儀式の場面での、民族舞踊っぽい感じの踊りがとても見ごたえありました。
ゾクゾクするような怖さがありました。
さて、お目当ての平野亮一さんのドラキュラは存在感抜群で圧巻でした。
フードの人物として登場しただけでも圧倒的な存在感があったのですが、真っ赤な衣装で出てきた時はもう立っているだけで何か禍々しいオーラを放っているよう。
一挙手一投足に引き込まれてしまいます。
普通の人間であれば、この者に会った時点で、これはやばい、と感じてきっと逃げるだろう…と思うぐらいです。
また、ポーズのキープ力とその美しさのおかげか跳躍の滞空時間が非常に長く、異形の生物感が強調されていました。
ジョナサン・ハーカー役の宮内浩之さんの渾身の怖がりっぷりも非常に良かったです。
1幕ラストのパ・ド・ドゥは色気があってとても見ごたえがありました。
カーテンコールの際もドラキュラを演じ切った平野さんは作品の世界を壊さないこだわりが見えて興味深かったです。
コートのすそ裁きも素晴らしく、とにかく出てきただけで存在感があります。
1幕だけだと、本当にここで…終わってしまうのですか…といったところで終わってしまいます。
先が気になってたまりません。
実に8月の公演を見たかったのですが…日程的に断念…非常に残念です。
冒頭に久保芸術監督によるトークがありました。
「映画や演劇などのいろいろな分野でホラー作品はあるのにバレエはあまりない」というようなことをおっしゃっており、確かに納得です。
そういう意味で今回の公演も面白い上演方法だったと思います。
ドラキュラ全幕は8月に上演されますが、それこそハロウィン時期にこういう作品を上演すれば、バレエにあまりなじみのない人でも訪れてみよう、と思うのかもしれないと思いました。