NHKの語学番組、「旅するフランス語」を最近見ていて、それに出演している柄本弾さんを今年中に見ておきたいな、と思ってのことです。
東バの公演を見るのは十年ぶりでしょうか。
思えば、初めて全幕バレエを生で見たのが東バの公演(演目は覚えていない…)だったと思います。
キャスト表(クリックで拡大)
会場の様子
土日マチネはすでに満席、平日夜のソワレはやや残席あり、 ということだったのですが、見た感じほぼ満席だったようです。
(ソワレは売れ行きいまいち…?仕事終わりなどは皆さん行きにくいのでしょうか…
個人的にはできれば平日夜公演もっと増えて欲しいのですが…)
新制作にあたって刷新されたという舞台装置や衣装などは美しくロシア感満載、ストーリーは極めて王道でオーソドックスでした。
舞台装置のおかげか、舞台転換がスムーズで暗転が少なく、世界観が崩れにくかったのは良かったと思いました。
幕開け最初の雪の降る外のセットが、カラフルな衣装の登場人物が入る絵画のような見え方をして美しく、全体的に1幕のセットがとても良いなと思いました。
2幕の背景のツリーは豪華できれいではあったのですが、個人的にはあまりにも緑だったと思います…。
色とりどりの煌びやかな衣装、光るクリスマスツリーや時計、 人形が出てくるクローゼット、 ツリーから顔をのぞかせる各国のダンサーなどの随所の仕掛けも面 白かったです。
ねずみは、ねずみの王様も含めて、かわいらしい感じで、さっぱり怖くなくて印象が薄いくらい。
ねずみと戦う兵隊たちのポアントでの踊りが見応えあってよかったなと思いました。
雪の精などのコール・ドは初めて見た時に感動した、そろいっぷり、美しさが健在でした。
一方、花のワルツの銀?色の衣装は、これまでに出てきた衣装に比べるとなんとなく地味に見えてしまいました。
また、振り付けもゆったりとした感じで、優雅で美しくはあったのですが印象に残らないぼやっとしたものに思えてしまいました。
くるみ割りの王子を演じた柄本さんは、伸びやかな踊りでした。
柔軟性が高いとは言い難いと思うのですがジャンプなどもどこか柔らかくい、想像していたよりも表情豊かに踊っていて見ていて楽しかったです。
マーシャの川島さんはすっ、と一本軸の通った、 どこまでも回っていられそうな回転に見惚れました。
パ・ド・ドゥは高難易度のリフトが多く見応えがあり、パートナリングも良くて安心して見ることができました。
スペインの伝田さん、宮川さんのパキッとした踊り、ロシアの池本さん、 昴師さんらの見応えある踊りも良かったな、と思いました。
しかし、この新制作、ムーア人のいわゆるブラックフェイス、中国の辮髪、といった古典的な表現がそのまま。
むしろ強調しているといってもいいくらい。
このご時世に?大丈夫なの?と、見ていて心配になってしまいました。
新制作にあたって、この部分については誰も何もいわなかったのだろうか…
それとも、理解した上であえて?
ムーア人を見た後の困惑に、中国を見た後で心配が加わって、いろいろなことを考えてしまって、最終的に踊りや舞台にはあまり集中できませんでした。
この部分がこのままなら、私は今後も見る度に同じようになってしまいそうで、残念ながらこのくるみはリピートできそうにないなと思いました。