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ju-hachi

2021/3/27 舞姫と牧神たちの午後 2021 感想

こちらも、年度末年度初めのバタバタで大変今更な感想です…。

 

舞姫と牧神たちの午後 2021を、マチソワで2公演鑑賞してきました。

緊急事態宣言中にチケットが発売された際には、本当に瞬殺って感じでチケットがなくなってしまいました。小劇場なのでハコも小さくて、更に半分以下の発売数じゃそりゃね…もう見れないかと思いましたが、追加販売してくれて良かった。

 

当日の客席もほとんど満席だったのではないでしょうか。このダンサーラインナップですし、当然と言えば当然なんでしょうが。

 

キャストは末尾に記録。

 

6作品、(このご時世にどうしてそうしたのかしら、と思わなくもないですが)公演名の通り主に男女ペアのコンテンポラリー作品の公演です。

 

 

 

6作品、どれも面白かったですが、やっぱり一番面白かったのは、最後のクリスタル・パイトの「A Picture of You Falling」です。

一部の抜粋が踊られていたということなのですが、もう絶対これ、同じダンサーで全部見たいです。

ある空間と時間などが描写されている英文が、どこかリズムやニュアンスを付けて繰り返し読み上げられている中、舞台上で男女2人がまるで争うようにして踊る、という作品です。(当日会場で流れている英文の日本語訳の紙も配布されていました。)

多分、喧嘩…何らかの争いが起こったその時の描写なのではないかと思うのですが、不穏な雰囲気に包まれていくのが、鳥肌が立つほど面白かったです。

ラストは、流れてくる英文の通りに男女が動きますが、方向が違うだけで違うような意味合いを帯びている…、ようなところが個人的におもしろかった。

湯浅永麻さんと小㞍健太さんの踊りも、パンフレットにもある通り2人の対話が聞こえてくるように感じさせました。

1つの作品の中で同じような動きが全く無いように感じるんですよね。ほんと、どうしてこんな面白い振り付けができるんだろうか。

 

他の作品は順番に感想を綴っていきます。

 

「Danae」ギリシャ神話のダナエとゼウスをモチーフにした作品。

ダナエのもとに、雨となって降り注ぐゼウスを、降り注ぐ金色の紙吹雪(?)で表現しているようでした。初っ端、ゼウスの渡邊さんが手から金のそれを床にパラパラと落とすシーンと、最後、椅子に立った木村さんが降り注ぐ雨に手を伸ばすシーンがあります。

ダナエ、ゼウスのソロがそれぞれにあり、ゼウスの踊りは、何か力を与えるような波のように揺れるようなイメージの振り付けがあったと思いました。

ラスト周辺に、ダナエのスカートを取って、ゼウスが抱きしめるようなシーンがあり、牧神へのオマージュみたいなものも感じたような。

先日も木村優里さんと渡邊峻郁さんのコンテンポラリーを見たばかりですが、なんとなくこの2人はクラシックよりコンテンポラリーがバランスが良くていいなぁって思います。特に、この作品は木村さんが感情豊かな表現が見えてすごくよかったと思いました。

 

「かそけし」これはギター演奏者も含めて3人の作品でした。初っ端から完全に牧神の、あの手を上げて2面的な絵画のような動きが挿入されています。コミカルな作品でした。手拍子や足を叩く音を入れたり、舞台袖にダンサーが突っ込んでいってクラッシュ音がして、文句を言う声が聞こえる…といったシーンなどがあったり、客席からも笑いが。ギター奏者のソロもあって、本体をこする音や、ギター自体を振ると不思議な音をさせたり…

ラストは雑踏と線路を電車が走る音がして…次第にここがどの空間なのかがわからなくなっていきます。

ギターの藤元高輝さんの演奏が酒井はなさんと森山未來さんの2人のダンサーを操っているのか?と見えるくらい、音楽と一体と一体いた踊りが心地よかったです。

 

「Butterfly」2番目に面白かった作品を選ぶなら、多分これかな…と思います。

麻のような白い衣装の2人、女性はドレッドヘア。物悲しいピアノ曲が流れる中、激しく、アクロバティックな踊りを繰り広げます。

マチネの2人は圧巻ででした。特に、五月女遥さんの表現力と身体能力がすさまじくかった。ペアの渡邊拓朗さんの身長に踊り負けない迫力がありました。渡邊さんの踊りもスケールが大きくてよかった。

ソワレの池田理沙子さん、奥村康祐さんの踊りは繊細で柔らかさがあって、また情緒を揺さぶるような違った魅力がありました。

 

「極地の空」作品の中では一番合わなかったです…。ちょっと物語性がありそうで、私にはあまり理解ができなかった。一応、メモだけ。

・舞台奥で彫刻を作っているようなシーン

・全面でダンサーが回転するような振り、背中合わせからずっと体が密着し合っているような踊りから、触れあいなくユニゾンの踊り

・二人羽織?獅子舞とかのような場面も

・"通りゃんせ"の歌が流れる

・舞台の対角線上で左右離れ離れの男女

・ラストは女性がいつの間にか消えている

 

「Let's Do It!」パンフレットによると副題はLet’s fall in loveとのこと。山田うんさんがハーフパンツにスーツのような衣装、川合ロンさんがスカートの衣装で、性差を逆転させている衣装で、2人ともボブカットのような髪型でした。軽快なユニゾンの踊りが良かった。一番特徴的なシーンは、上半身が山田さんのスーツで、下半身が川合さんのスカートが見えて、正面から見ると1人の人みたいに見えるようなシーンでしょうか。

 

正直、コンテンポラリーは…あまりに合わない作品だと私はすぐ寝ちゃうんですが…(もうほんとお恥ずかしい限りですけど)、この公演は全部面白い作品ばかりで一つも寝ませんでした。

あと、いつも私の処理落ち気味の脳みそではコンテンポラリー作品の情報処理は追い付かないのですが、2公演も見たおかげで普段よりも処理できた感じがありました。

 

 

<<キャスト>>(新国立劇場Webサイトより)


Danae

【出演】木村優里&渡邊峻郁
【振付】貝川鐵夫
【音楽】ヨハン・セバスティアン・バッハ

 

かそけし

出演
酒井はな&森山未來
演出・振付
島地保武
音楽・演奏
藤元高輝(gt.)

 

Butterfly

【出演】池田理沙子&奥村康祐(3月26日(金)・27日(土)18:00)/五月女遥&渡邊拓朗 (3月27日(土)13:00・28日(日))
【構成・演出】平山素子

【振付】平山素子&中川 賢
【音楽】マイケル・ナイマン、落合敏行

 

極地の空

出演・振付
加賀谷 香&吉﨑裕哉
音楽・演奏
坂出雅海

 

Let's Do It!

出演・振付
山田うん&川合ロン
音楽
ルイ・アームストロング ほか

 

「A Picture of You Falling」より

【出演】湯浅永麻&小㞍健太
【振付】クリスタル・パイト
【音楽】オーウェン・ベルトン