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ju-hachi

2022/3/17 ロミオとジュリエット[Kバレエカンパニー] 感想

追記:今回の公演の千穐楽飯島望未さんがプリシパルに昇格されたそうです!おめでとうございます!

(個人的には入団当初から今までなんでプリンシパルじゃなかったの?という感想です…)

 

Kバレエの、熊川版ロミオとジュリエットを観てきました。今年既に鑑賞2回目のロミオとジュリエット鑑賞です。

飯島望未さんのジュリエットは絶対ハマるだろうなぁと思って、彼女の回のチケットを早々に押えたのでした。

 

キャスト

cast

 

 

 

Kバレエ版ロミオとジュリエット、正直あんまり好きじゃなかったかもしれません。

熊川氏の改訂や作品作りはこれまではいいなぁと思うことばっかりだったのですが、ちょっと今回の作品は好みではない部分が多かったかな…と思いました。

特に違和感があったのは、ティボルトがとことん悪役として描かれている所でしょうか…酔っぱらって?酒瓶を割って、挙句とんでもない不意打ちでマキューシオを殺害するシーンは結構衝撃的でした。

また、ロザラインがティボルトの彼女という設定になっており、ロザラインを物語でより重要な登場人物として描く方法は面白かったのですが、ティボルトが死んだ後に嘆くシーンも母親じゃなくロザラインに代わっており、それによって両家の争いである印象がより薄くなっているような。むしろここのシーンでロザラインも自害ぐらいするのかと思ったら、そこまではいかなくって、個人的には中途半端に見えました。

あとは、私だけかもしれませんが、マキューシオの印象がやや薄かったのが残念でした。ベンヴォ―リオのソロの方が多かったような気がして、途中までどっちがマキューシオなのかはっきりとわからなくて、ティボルトに向かっていったところでやっとわかりました。

 

ただ、ロミオとジュリエットプロコフィエフの音楽って、マクミラン版のロミオとジュリエットの振り付けだったり、この部分の音楽だとこういうシーンのこの踊りがくる、って、見る側の考えも結構固定されてしまっているところがあると思うのですが、そこの予想を裏切る音楽の使い方や演出をしている場面が多かったのが印象的で、他にも細部の描き方が丁寧で良かったと思うところはとても多かったです。

 

ジュリエットの飯島さんはすごく可憐で可愛らしくて、1幕は幼く、2幕は大人びて成長している様子が非常に良く表現されていて演技達者だなぁと思いました。

ロミオの山本さんもともに良かったですが、より、ロザラインが印象的だったかな…日髙さんの存在感がすごかったです…パーティーのシーン前にロザラインとロミオ、ティボルト、ベンヴォ―リオがカトルで踊るシーンの多彩なポー・ド・ブラに見惚れて、ティボルトの死を嘆くシーンは数日たっても目に焼き付いているような気さえしました。

舞台セットも衣装もさすがKバレエと思う凝り具合、2階と1階をうまく使った演出がとても良かったと思いました。

 

以下、メモ。

 

1幕

・紗幕は広間のシーン、影で剣?が描かれている?序曲途中で赤いライトで血染めのように光る演出。序曲に、マクミラン版だと大公のエスカラスが序盤すぐに両家の争いを止めて手だけを左右にびーっと動かす印象的なシーンに使われている曲を演奏していて、本編ではそのシーンはなくなっていた。

・幕明けすぐにマンドリンの、よくジュリエットの友人達が踊るときに使われる曲でロミオとロザラインがやり取りする場面。

・街の人々が喧嘩をしだす場面は女性たちのいさかいの場面から始まるのが新しかった。ロザラインも気が強くて、ヴェローナの女性役の人と殴り合い、その後両家の父親達どころか奥方もにらみ合いの場面が。この場面、誰も死んでいる様子が無く、死体を重ねるシーンもなし。

・ベンヴォ―リオが青い衣装、マキューシオが黄色い衣装

・ジュリエット登場シーン、最初から乳母がいるのではなく、途中から登場。最初の衣装はピンク。父親に首飾りを与えられて子供っぽく喜ぶシーン、婚約者として?パリスの肖像画を見せられて、明確につーんと嫌よ!と言った様子。

・ロザラインがティボルトと恋人であるような描写。(隠しているのか?)

・パーティーシーン前にロザライン、ロミオ、マキューシオ、ベンヴォ―リオが仮面なしで踊るカトルのシーンあり。その後、仮面をつけ、照明で窓を表現してパーティーの広間の場面へ移行するのが印象的で美しい演出だった。

・キャピュレット家のテーマでは、長身の剣を持った甲冑姿の男性2人が踊る剣舞。ロザラインも一緒に踊る。大抵パーティー出席者が隊列で正面向きで踊るシーンになりがちだから、この演出はすごく新しいなと思った。重厚だし悪くない。

・ジュリエットは2階から登場、パリスも肖像画でなく実物が登場。

ロミオとジュリエットは舞台右下と2階部分左上で出会う。ピンスポットが比較的長めにあたり、結構印象的な場面で良かった。またそれぞれソロの踊りがあった後、2人が正面向きで横並びに立つ場面が良かった。割と自然だったし、表情が見えて、2人がお互いを気にしている様子もよくわかる。

・乳母はジュリエットを助けてあげている描写があり。

・バルコニーのパ・ド・ドゥ。バルコニーは右側。パ・ド・ドゥ後に幕。(2幕ものになっているから、どこで切るのかと思っていたら、ここはマクミラン版とかと一緒でした。)

 

2幕

・街の広場はお祭りのような様子?マンドリンダンスを赤黒タイツの道化みたいな人たちが踊るシーン。

・秘密の結婚式でロミオは僧から十字架を受け取る。

・お祭り?中に酔っぱらってか?酒瓶を2階から1階に落とすティボルト。非常に態度悪い…マキューシオとやり合って、帰ると見せかけてマキューシオを刺す、すごく卑怯な…。すがるマキューシオをはねのけすらして大層な悪役描写。マキューシオが刺される場面はロミオもベンヴォ―リオも目撃していない?

・ティボルトの首を刺したロミオはベンヴォ―リオに連れられてすぐに退場。ティボルトの死体に、ヴェローナの街の女性のリーダー格?の女性が唾を吐きかける場面あり。ロザラインの嘆きのシーン、周りの人に剣を振り回すような場面があり、さながらジゼルの狂乱シーン。

ロミオとジュリエットの後朝のシーン。ロミオは十字架を首から下げていたが、出ていく前にジュリエットにそれをあげる。部屋にはドレスのマネキンがあったが、ロミオにドレスを叩きつけるような場面があり…?(私、結婚させられてしまうわ!みたいな感じか…?)ロミオが出ていった後、結婚を迫られて父親に殴られるシーン。(父親も踊る場面があったかな、)母親は助けてくれず。

・ロミオに仮死状態になることを知らせる手紙をジュリエット自身が書く演出が良かった。

・ジュリエットが教会に走るシーンとかパリスに会うシーンまでずっと同じネグリジェみたいな衣装なのがちょっと違和感…?

・ジュリエットが一人ロミオからもらった十字架を薬の小瓶にかけると、2階の道に2人で寄り添って歩くロミオとジュリエットの姿が現われて…幸せだったころを思い出すようなシーンがジュリエットに決意をさせる。ここがとてもわかりやすくてよかった。

・薬を飲んだジュリエットはベットに仰向けで倒れる。小瓶は枕の下へ隠し、小刀は傍らに?足を開いたまま寝ていたのがちょっとびっくり。ジュリエット友人すぐ気づかないかな。

・ジュリエットの手紙が暴漢に?スリに?襲われてメッセンジャーが殺されてしまったことで届けられないという場面、ベンヴォ―リオからロミオにジュリエットの死を聞かされる場面が入るのが分かりやすく良かった。

・墓地に担架のような装置で担がれて運ばれるジュリエットが、担架でおろされてそのままなのが若干の違和感。

ロミオとジュリエットは2人重なった状態で死。そのまま幕。