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ju-hachi

2023/4/29,4/30 シェイクスピア・ダブルビル[新国立劇場バレエ団] 感想

新国立劇場シェイクスピア・ダブルビルを観てきました。やっともろもろ落ち着いて久しぶりに感想をちゃんと書いている感じです。

悲劇と喜劇をいっぺんにやるなんてすごい企画。「世界初演」と「新制作」でとっても楽しみにしていました。

マクベス」なんて流血必須だけど…と思っていたら、劇場内にその旨貼りだされていました。

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キャスト

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マクベス」は暗殺、血まみれ、子殺し、妊婦殺し、生首登場…と、攻めた内容で…新国バレエ団がここまでやっちゃうんだ…!と思うような内容。とても面白かったです。若干、あらすじをなぞるのに終始してしまった感はなきにしもあらず…とも思えましたが、踊りの見せ場はしっかりあったし、1時間に良くまとめたもんです。

大きな舞台セットは無く、最小限のセットで転換していく形。時にはダンサーたちがセットを移動させる仕組みで、テンポが良かったです。音楽も個人的には好み。これを録音でなく演奏できるオケがいるのも強みだよなぁと思いました。

まずは井澤さんのバンクォーがめちゃくちゃいい役!井澤さんがこれまた演技がお上手で、適任。血みどろでマクベスに迫るシーンなんかゾクゾクしました。

米沢・福岡と、小野・奥村と、キャスト2組ともどちらも観たわけですが、演者が違うと受ける印象がここまで違うか!というくらい全く違って面白かったです。

米沢・福岡組は、素直でやや単純そうなマクベスが権力欲におぼれたレディ・マクベスにそそのかされて…という雰囲気に思えました。米沢さんのレディ・マクベスの迫力たるや…!そしてロミジュリの墓地のパ・ド・ドゥのような、脱力した状態での踊りが素晴らしかった。最初のパ・ド・ドゥ含め、赤の衣装のマクベスとレディ・マクベスがとても映えて、2人のダイナミックな踊りは非常に見ごたえがありました。

小野・奥村組は、まるでレディ・マクベスは魔女が乗り移ったか操られていたかのような印象でした。キャストのバランスや演技にも一体感があった気がして、全体としてはこちらのペアの回の方が好みだったでしょうか。目がくらんで自己に相応以上のものを得ようとし、間違った歯車が本人の意思では止められないぐらいの勢いでどんどんまわって行ってしまうような感じ…奥村さんのラストの破れかぶれの勢いがとてもよく表現されていたように思いました。

惜しむらくは冒頭の3人の魔女がちょっと消化不良だったことかなと…もうちょっと雰囲気出そうな気がしました。この3人のキャストならもっといい感じで行けるんじゃないかな…という期待も。

ダークな、これまでとは違う側面のプリンシパル達が見れて、とても面白かったです。

各キャストとも初日公演しか見ていないのですが、公演を重ねてもっと演技が深まった頃にもう1回観ればよかったかな。

 

夏の夜の夢は楽しかったー!マクベスの血生臭い感じが霧消するようなキラキラ加減で、マクベスが先に上演でよかったな…という気持ちに。やっぱり安心感がありました。

こちらもダブルキャストどちらも公演を観ましたが、個人的には柴山・渡邊組の方が好みでした。柴山さんは雰囲気もぴったりだったし軽やかな踊りがとても妖精っぽく。渡邊さんの演技も悪くなかったですし、以前よりも本当に踊りがしっかりして貫禄が出てきたなぁと(とんだ上から目線ですが…)しみじみ思いました。

速水・池田組も、またちょっと雰囲気が違って楽しかったです。速水さんは威厳みたいなものはあまり感じませんでしたが、やはりあの跳躍力が人以外のものっぽさの演出として見事。池田さんは演技が良かったと思いました。お気に入りの子どもをどうしてあげなきゃいけないのよ!という表情とか仕草がとても可愛らしかった。

いずれのペアもソロやラストのパ・ド・ドゥも危なげなく、安心して観れました。

また、パックの山田さん、石山さんとも、キレッキレの回転、高い跳躍…素晴らしかったです。特に山田さんは跳躍が高くて…歓声を上げそうになるのを何度こらえたことか。

ボトムの木下さんと福田さんがまた芸達者で…!コミカルな役をやてクラシックな踊りもできてポアントワークまでこなして…本当にこの2人がいるのは心強いですよね…。

4人の若者たちも楽しかったですね。特に寺田さんの表情や全身の演技が良くって、観客が安心して笑っていたと思いました。

 

どちらの演目も良かっただけに、客席の寂しさが残念でした…3年ぶりのGWを行楽地で満喫していらっしゃるんでしょうね…